「推し活」で不幸になってしまう人の特徴。 精神科医が伝える“推すために一番大切なこと”
自分の承認欲求を満たすだけでなく、自分以外の誰かに夢を仮託して応援するというのも、生きていく上ではとても大切なことではないか……そこにもう少し目を向けませんか? というのが著書を通して伝えたかったことです。 憧れの感情は人を引っ張って成長させます。「褒められたい」という気持ちと、「こうなりたい」と憧れる気持ち、その両方があったほうが人は伸びる。そんな時にも、「推し活」は有効ではないか、と。 ――推しを憧れの対象として見上げる、「自分もああなりたい」と感じている部分は、確かにありそうです。 熊代:推しの良い部分を見習いたい気持ちが働くならば、それは「推している」「自分の心を満たしている」だけではなくて、「推し活」を通して前に進む力を分けてもらっているとも言えると思います。
「推し上手」は仕事でもうまく立ち回れる
――自分自身の成長の糧になる可能性もあるわけですね。 熊代:あとはもちろん、単純に「推し活」の対象の活動や創作物に触れて楽しむというのも重要な効能です。嫌なことがあったときに気分転換ができる、そういうチャンネルがあると生きていくのが少し楽になるんですよね。 ――まさに「推し活」と上手く付き合うことで生活が潤うという。 熊代:「推し活」の対象は身近な人だっていいんです。たとえば、会社の先輩、同僚、後輩に推しがいれば、それぞれが自分のロールモデルになりますし、その人たちが持っているスキルやノウハウをリスペクトすることで自分にも取り込みやすくなる。それに、推す自分自身だけでなく推される側も成長しますよね。 ――推される側もですか。 熊代:子供だって親が「この子はダメだ」って思っているよりは「推し甲斐がある」と思った方が伸びますし、会社の後輩や部下も同じです。「推し活」ってもともと対象者をエンパワーしていこうという活動じゃないですか。経済的なことだけではなく、ライブに集まってステージを盛り上げるというのもエンパワーする行為です。