「子どもを助けようとしておぼれる事故」はなぜ起こる? 『子ども版 これで死ぬ』が教える川の危険
思わぬ危険が潜んでいるのが、川の怖い所です。キャンプなどで命を落とさないために事前に親子で学びたい「川の知識」を、書籍『子ども版 これで死ぬ 』よりご紹介します。 ※本稿は書籍『子ども版 これで死ぬ』(羽根田治 監修,藤原尚雄 監修,松本貴行 監修,山中龍宏 監修,大武美緒子 文/山と渓谷社刊)より一部抜粋・編集したものです。本記事の内容は同書より基本的な情報の一部を掲載しています。より詳しい情報は同書や、専門の解説書や講習会などをご参照ください。
助けようとしておぼれる
4月下旬、大阪府の安威川で、川で遊んでいた13歳の男子中学生と小学生3人のうち、2人が深みに流されました。ジョギング中だった30代男性が助けようと飛び込みましたが、男子中学生と9歳男の子は、別の通行人の男性らに救助されました。男子中学生は3日後に死亡、飛び込んだ男性は、水深2.5m付近の川底で見つかり、病院に搬送後死亡が確認されました。事故が起きたのは市街地を流れる川で、河川敷は公園として整備されています。 子どもたちは、川を横切るように敷かれたコンクリートブロックを飛び石がわりにして川の中央付近で遊んでいたところ、濡れたコンクリートで滑って転倒したか、流れに足元をすくわれるなどして転倒、下流に流され深みにはまったと見られています。ブロックを川の水が越えている地点の水深は足首程度ですが、数メートル下流は、増水時の水の流れで川底が深くえぐられて、水深5~6mの深みになっていました。
死なないためには
●飛び石は危険 川に設置された人工構造物は、コケなどで滑りやすい、複雑な流れが起きているなど危険が多いです。見慣れた場所で、水深が浅く流れもゆるやかな場所でも雨などで様子は一変します。川底に敷かれたコンクリートブロックなどは、飛び石にして子どもが遊びたくなる場所でもあります。危険な場所だと繰り返し伝えましょう。 ●助けに行くのはちょっと待って! 子どもがおぼれている。その場に居合わせたら、なんとかして助けなければと思うでしょう。ですがおぼれた人を助けようとした人(川に立ち入って手や棒を差し伸べるなどを含む)のうち約14%で、救助者がおぼれる、流されるなどの二次災害が起こっています(公益財団法人河川財団調査による)。 水の中に入って救助しようとする行動はリスクが高く、専用の装備を持っている人や、訓練を積んだ人だけが救助にあたることができます。 わたしたちにできることは、119番への通報で救助を要請し声をかける。安全な場所へ指示、誘導する。浮き輪などの浮力になるものがあれば投げる。これらの水の中に入らない方法で救助を試み、自身の身を守ることを忘れずに行動しましょう。 川での水難事故は、起こってしまうと救助がとても困難な事態になってしまいますが、未然に防ぐことはむずかしくありません。痛ましい事故、二次災害を起こさないためには川の危険を正しく知り、ライフジャケットを着用し、安全な場所で遊ぶことにつきます。
羽根田治(監修),藤原 尚雄(監修),松本 貴行(監修),山中 龍宏(監修),大武 美緒子(文)