「森友学園」問題を論点ごとに整理する 坂東太郎のよく分かる時事用語
大阪の国有地払い下げに端を発した学校法人「森友学園」をめぐる疑惑が波紋を広げています。同学園は購入した国有地に今春、小学校を開校する予定ですが、この土地取引が格安で不透明だとして、国会で連日追及され、さまざまな報道が続いています。 【写真】「森友学園」問題 証人喚問を終えて残る4つの謎 多くの論点が湧き上がっている今回の問題ですが、払い下げ価格、土地取引の経緯、安倍首相や政治家との関わり、学園の教育方針など、テーマごとに何が焦点かを整理してみたいと思います。
「ごみ撤去代に8億円」格安払い下げ
大阪府豊中市の国有地(8770平方メートル)が大阪市で塚本幼稚園を運営する学校法人「森友学園」に格安で売却された経緯が問題視されています。 もともと国有地は田畑や住宅地でした。上空が伊丹(大阪)空港への飛行ルートで騒音対策区域に指定されたため、国土交通省大阪航空局が土地を購入していきました。航空機の性能が上がるなどして指定解除となり役割は終了。大阪航空局の依頼で、2013年に財務省近畿財務局が売却先を公募します。国有財産を売ったり貸したりするのは財務省理財局の仕事で、近畿財務局は出先機関です。 問題の発端は、財務局が国有地の売買価格を非公表としたから。これに対し、豊中市の木村真市議(無所属)が、国に非開示の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こしました。マスコミの一部も追いかけて報道し、一転して公表されます。その価格が1億3400億円と、不動産鑑定士が査定した9億5600万円という価格に比べて「あまりにも安い」と、批判と疑念が巻き起こったのです。当初、非開示だったのは学園側の要望だといわれています。 どれほど安いかを比較するのに役立つのは、2010年に近畿財務局が豊中市に公園用地として売却した、渦中の土地の近くにある国有地価格です。9492平方メートルで約14億2300万円でした。 問題の土地は、国の調査で地下にゴミや有害物質があると確認されています。土地の一部で基準値を超す鉛やヒ素が含まれていたのです。財務省は2016年6月、査定額からゴミの処分代などとして、約8億円を差し引いた1億3400万円で森友学園に売却しました。この「8億円の減額」が妥当だったのかが焦点の一つになっています。 別の学校法人が問題の国有地を売ってほしいと約5億8000万円を提示した際には折り合いませんでした。それがダメで森友学園の1億3400万円ならばいいとするのは、どうにも腑に落ちません。