人生、上がりたい…!ジワジワ増加中の「おひとりさまFIRE」を夢見る人が気づいていない「意外な落とし穴」
FIREはインフレに弱い…!
この点、FIREという生き方はインフレに弱いことを認識しておくべきだろう。インフレ局面においては、賃金や年金支給額がインフレ見合いで引き上げられることが予想され、雇用者や年金受給者の実質購買力はある程度維持される可能性が高い。 一方、FIREして財産所得だけで生活する人は、賃金増の恩恵も年金増の恩恵も得られず、資産運用だけでインフレと戦わざるを得ない。ここに、「FIREする人が増えれば増えるほど、(人手不足からのインフレを通じて)FIREした人に不利な環境が訪れる可能性が高くなる」という難しさがある。 読者の中にもFIRE願望を持っている人がいると思う(筆者自身〈30代後半〉も、遅くとも50歳までには完全リタイアしたいと思っている)が、FIREはリスクの大きい生き方であることを認識したうえで、様々な代替シナリオを検討しておくことが重要であろう。 つづく記事〈もう働きたくない…日本で「おひとりさまFIRE」が止まらないシンプルな理由〉では、おひとりさまFIREの増加で激変する業界、そして人手不足で窮地に立たされる日本企業の特徴を解説する。
河田 皓史(みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部 主席エコノミスト)