2024年、注目の展覧会12選。
●『村上隆 もののけ 京都』京都市京セラ美術館(2024年2⽉3⽇~9⽉1⽇)
2024年も全国でたくさんの展覧会や芸術祭が開催されます。その中からCasa BRUTUSが選りすぐった12件を紹介! 地方であれば、旅と一緒に楽しみたい企画も。今から計画を立てておきましょう。 大学で日本画を専攻した村上隆にとって、江戸時代の絵師たちは偉大な“先輩”だ。村上は彼らから絵画表現だけでなく、「スーパーフラット」といったコンセプトや工房システムなど多くを学んできた。その彼が日本美術の総本山ともいえる京都で個展を開く。 全長12メートルの《洛中洛外図》は岩佐又兵衛の《洛中洛外図屛風(舟木本)》に、全長18メートルの《雲竜赤変図》は曾我蕭白の《雲龍図》に村上が送る挑戦状だ。会場に出現する村上版「平安京」は、東西南北を四神(⻘龍、白⻁、朱雀、玄武)の神獣が護るとされた平安京を踏まえたもの。1994年に初登場し、「たんたん坊」「ゲロタン」と姿を変えてきたキャラクター「DOB君」も出現する。京都の伝統文化や、京都を題材にした文学作品からインスピレーションを得て描きおろされた作品も並ぶ。村上を通じて日本美術の歴史と現在を行き来する、そんな楽しみ方もできる展覧会だ。
●『マティス 自由なフォルム』国立新美術館(2024年2月14日~5月27日)
南仏の明るい空気を思わせる作品で人気のマティス。彼が後半生で辿り着いた技法が「切り紙絵」だ。鮮やかな色の紙を切って並べるこの手法で、彼は助手に手伝ってもらうことでひとりでは難しい大画面の作品を制作することができた。この展覧会はフランスの〈ニース市マティス美術館〉が所蔵する作品を中心に、彼の切り紙絵に焦点をあてるもの。中でもマティスが没する前年に完成した《花と果実》はこの展覧会のために修復された後、日本初公開される注目の作品だ。 会場には切り紙絵によって彼がデザインしたステンドグラスや司祭服などのある〈ヴァンスのロザリオ礼拝堂〉を体感できる空間が出現する。また最初期の油彩画や鮮やかな色彩が目に飛び込むフォーヴィスム時代の油彩画、貴重な陶芸作品、ニースに移住してから手がけた絵画や彫刻など、切り紙絵に至るまでの彼の足跡を紹介。見ること、描くことの快楽を教えてくれる。