「また、命つなげられた。泣いた」肺がん患者の約1%の遺伝子変異が見つかる 『がんゲノム医療』の最前線
「がんゲノム医療」とは
「がんゲノム医療」とは、患者によって異なる遺伝子=ゲノムの変異を見つけ、それぞれの変異にあわせた薬で治療するというものです。適合する薬が見つかれば大きな効果が期待できます。 (青島さん)「あのときアクションを起こしていなければ、自分の(今の)状態はあったのかな、生きていたのかな」 肺がんはこの20年で最も薬が進化したがんの一つです。ゲノム医療では遺伝子変異のタイプにあわせて使う「分子標的薬」という薬の開発が進んでいて、現在では検査した肺がん患者の半数近くは適合する薬が見つかる可能性があるといいます。
希少な遺伝子変異が見つかる「また、命をつなげられた。ウルっときて泣いた」
青島さんはがんと分かった8年前、医師の判断で分子標的薬が使える主な遺伝子変異を調べましたが、見つかりませんでした。しかし患者会に参加するなかで、まだ調べていない変異があることを知り、主治医にかけあってあらためて検査したところ、ROS1という遺伝子に変異が見つかりました。 これは検査をした肺がん患者のわずか1パーセント程度にしか見られない変異ですが、すでに分子標的薬が開発されていたのです。 (青島さん)「正直、藁をつかむ思いで藁を掴んだ感じでした。また、命をつなげられた。ちょっとウルっと来て泣いた」 2020年に分子標的薬を服用する治療を始めた青島さん。入院中には、高熱や発疹などの副作用が出ましたが、辛い闘病生活を支えたのが家族が贈った手作りの日めくりカレンダーでした。 (青島さん)「コロナ禍で面会ができないんですよ、なので家族と合えないさみしさってこんなにつらいものかと。毎日朝起きてめくっていました、癒される感じですね」
治療前と後の変化は?
右側が治療前、左が治療後のCT画像です。赤い丸の部分に腫瘍があります。分子標的薬による治療を1年続けたあと、放射線治療を行った結果、がんはCT画像ではほぼ確認できないほど小さくなっていました。 青島さんはその後、体調を崩すこともありましたが仕事にもフルタイムで復帰し今は1年以上、一切治療を受けていません。