値上がりするラーメンをあきらめて…若者、学生の救世主「油そば」渋谷・池袋・早稲田でバトル勃発中
ラーメン「1000円の壁」が崩れて……
ラーメン業界には長らく「1000円の壁」というフレーズがあった。ラーメン1杯の価格が1000円を超えると客足が遠のくという業界の通説だ。しかし、近年は原材料費や人件費の高騰を背景に、この「壁」を超える価格帯のラーメン店が増え、1000円以上のプライスも珍しくない。中には数千円のプレミアムラーメンを提供する店も登場しているほどだ。 【旨い!安い!】「追い飯」(150円)を追加しても満腹モードで1000円以下! そんな中、コスパとタイパの良さ、そしてカスタマイズの楽しみを提供する「油そば」が、特に若者や学生に支持されている。 ◆東京都心で急増する理由 油そばの歴史は1950年代に遡る。東京の多摩・武蔵野エリアで誕生した「汁なしラーメン」として、ラーメン文化の一翼を担ってきた。スープの代わりに醤油ベースのタレを麺に絡め、酢やラー油などの調味料で自由に味の変化を楽しむスタイルが特徴だ。 このカスタマイズ性が支持を集め、今ではその人気は全国に広がっている。各店ごとにトッピングやタレのバリエーションが異なり、飽きがこないためリピーターが後を絶たない。また、多くの店では並盛と大盛が同一価格で提供され、ボリューム満点なのも学生街や繁華街で多くのファンに愛される理由のひとつだ。 油そばがホットなエリアとして挙げられるのは、東京都心部の渋谷、池袋、そして高田馬場-早稲田ラインだ。 これらは複数の私鉄が乗り入れるターミナル駅であり、大学や専門学校、高校も多い。学生を中心に安価でボリュームのある外食が求められているエリア。 ラーメン情報サイト『ラーメンデータベース』でこれらのエリアの油そば店をリストアップしてみると、駅から500m圏内に「油そば」をメニューの主軸に据える店が、渋谷で7店、池袋で6店、高田馬場で5店確認できる。 特に高田馬場は早稲田エリアまで含めると10店に達し、多様な専門店が数多く存在した。これらのエリアは、まさに都内有数の「油田」――油そば激戦区」なのだ。 ◆「油そば」が若者の救世主になるワケ あらためて、油そばのストロングポイントを整理してみよう。 ◇1_カスタマイズの楽しさと自由度 酢やラー油という基本調味料を使い倒し、好みに味を変えられる自由度が魅力だ。食欲や気分に応じてチャーシューや半熟卵などのトッピングを追加し、店舗ごとに特色のあるニンニクソースやマヨネーズなどで味の変化を楽しめる。このカスタマイズの幅広さが、何度通っても飽きることなく支持される理由だ。 ◇2_コスパの良さ 並盛でも200g程度の麺が提供され、多くの店で並盛と大盛が同一価格という点が大きな魅力だ。1000円以下で十分に満腹感が得られるため、物価が上昇する昨今も、若者の強い味方になる。 ◇3_タイパの良さ 油そばはスープがなく、つけ麺のように茹で時間が長いわけでもないため、提供が早く、スピーディーに食べられる。授業時間100分を採用する大学も増え、昼休みが短くなる傾向がある中で、短時間でしっかり食事ができる油そばは、現代の大学生のニーズに合っている。