実は「会社員」こそ不動産投資に向いている!? 不動産のプロが断言する“明確な理由”
ワンルームマンションの購入を「おすすめしない」理由
【(2)自らの属性を把握して金融機関を選ぶ】 先述した通り、年収が重視されるのはアパートローンです。プロパーローンも年収は重視されますが、年収のみで決まるものではありません。年収が条件に満たない場合はアパートローンを利用できない場合が多く、この融資の種類しか知らない場合、「不動産投資は難しい」という結論になってしまいます。 しかし、ここで融資を諦める必要はありません。不動産投資への融資姿勢は、金融機関によって異なるからです。そこで、次のステップとして鍵になるのが「属性」です。 一般的な「属性」とは、その人が持つ性質や特徴のことを指しますが、金融の世界における「属性」とは、社会的・経済的背景のことを指します。属性は、金融機関によって評価がまちまちなのですが、見ているポイントとしては「勤務先」「勤続年数」「収入」「持っている資産」「他の借入金とその返済状況」「家族構成」…など細部に渡ります。 自身の属性を把握することや、それぞれの融資の特徴を理解することはとても重要なことです。一つの銀行に融資を断られたとしても、別の銀行は違った回答を出すことは考えられます。自身の属性で利用できる融資にはどんなものがあるかを把握するのが難しい際は、不動産投資をサポートしてくれる、信頼できる会社に相談することで、自分では気付くことのできない融資を発見できる場合もあります。 【(3)一棟アパートに投資する】 昨今、月々の支払いが低額から始められて、自己資金が少なくても購入できる「区分マンション投資」が流行しています。区分マンションとは、一部屋単位で購入し、一棟の各ワンルームでそれぞれに所有権を持つ、規模感が小さい物件のことを指します。 しかし筆者は、そういったワンルームマンションの購入はおすすめしません。理由を簡潔にいうと、利回り率が低く、利益が見込めないからです。 区分マンション投資の場合、運営費用や修繕費、税金などのコストがかさむ上、空室になった場合の賃料収入はゼロになります。融資を組んだとしても返済が追いつかず、現金の手出しが必要になるケースが多発しています。つまり、区分マンション投資で利益を出すためには、不動産市況が活況になり、物件自体の値上がりに期待するしかない……という現況です。 では、不動産投資のリスクを極力抑えて、長期的かつ安定的に収入を得るためにはどうすればよいのでしょうか。ここでおすすめしたいのが、「一棟アパート投資」です。 一棟アパート投資とは、数戸~十数戸の部屋を持つアパートを丸ごと購入して行う不動産投資のことです。それぞれの部屋で入居者を募り、毎月の家賃収入を得る形で運用します。建物の構造は、基本的には木造もしくは軽量鉄骨造のいずれかですが、今回は木造物件で解説します。 一棟木造アパートの主なメリットとしては、次の3点が上げられます。 ・資産形成できる規模が大きい ・自由度が高い ・節税対策になる まず、一棟アパートの強みは「大規模な資産形成を一度に行えること」です。一棟アパートを購入することで、一度にたくさんの物件を保有できます。毎月の家賃収入も大きくなるため、その収入を他の物件に投下し、さらなる資産形成を図ることも早い段階で可能です。 もちろん、1部屋の区分所有でも資産形成自体は可能です。しかし、その場合は部屋を複数戸所有していないと、1回の退去で収入が大きく下がってしまうため、一棟アパートと比較すると収入の安定性は低いといえます。 次に、「自由度の高い運営ができる」のも、一棟アパートならではの強みでしょう。一棟アパートであれば、賃料や大規模修繕の時期なども自身の裁量で決められます。例えば、間取りや階数、部屋の設備などの差を考慮して、同じ建物内でも部屋によって違った賃料を設定するのも一つの方法です。 ただし、何でも自由に決められるわけではありません。一棟アパートを含めた不動産の賃料は、その物件があるエリアの賃料の動向に合わせ、合理的な水準で決める必要があります。極端に高い賃料にしたのでは、入居希望者はなかなか現れません。同時に、空室が長期化しないよう合理的な水準で賃料を設定したり、本当に必要な時期かどうかを見極めて大規模修繕を行ったり、経営戦略的な判断能力も不可欠です。完璧に自由というわけにはいきませんが、ある程度は自分の裁量で決められるのは確かです。 最後に、節税対策についてです。一棟アパートの場合、区分所有アパートに比べると、年間で計上できる減価償却費ははるかに大きいです。不動産投資において、建物の減価償却費は会計上の費用として計上ができるため、実際のお金が出ていくことなく、所得税額の圧縮を図ることができます。もし、年収1500万円以上の人であれば、節税対策としてこのスキームをさらに有効活用できます。 以上、融資を受けやすい条件について、「ローンの種類」「属性の理解」「一棟アパートに投資する」という3つの軸に分けて解説しました。不動産投資を行う目的によって、享受できるメリットは変わってきますが、一棟アパートを選ぶことで、投資収益は確実に上がります。高い収益性が見込める投資であることは、金融機関からの融資を受けやすい条件の一つになるので、不動産投資において、利回りのよい物件であることは最も必須事項です。 そして、先述した融資条件や属性を正しく理解し、自己資金を活用できれば、年収700万円の会社員が「一棟買い」をすることは、夢ではありません。