【甲子園プロ注目選手の評価事情】プロ志望の逸材11名のパフォーマンスを総括!スカウトが視察する初戦でアピールできたのは?
野手は初戦で満点のパフォーマンスができたのは早稲田実の宇野、大社の藤原 ほかは爆発的な活躍ができず…
今大会は大会本塁打が7本とセンバツと同じく「投高打低」の状況が続き、野手にとっては難しい大会だった。 石塚 裕惺内野手(花咲徳栄:初戦敗退) 甲子園初戦の打撃成績 4打数1安打 アピール度B 進路:プロ志望届提出表明 初戦敗退は喫したが、第1打席で持ち味を発揮した。自身にとって甲子園初打席で左前安打を放つと、すかさず二盗。さらにセンターフライからタッチアップして、三進。難しい当たりであったが、試合前のシートノックで外野手の肩をチェックしていた石塚は三塁へ進んだ。そして犠牲フライの当たりもやや浅めだったが、スタートをしっかりと切ってホームインした。ヒットはこの1本だけだったが、走塁意識の高さはしっかりと見せた。守備でも安定した動きを見せていた。石塚はこれまでの活躍で評価の積み重ねがあるため、ドラフト上位候補の評価は変わりない。ただ、1位になるには1試合2本塁打などインパクトのあるパフォーマンスに期待したかった。U-18代表に選出され、木製バットを使う今大会で別格の活躍を見せれば、評価も変わるだろう。 宇野 真仁朗内野手(早稲田実業:3回戦敗退) 甲子園初戦の打撃成績:5打数3安打3打点 アピール度A 進路:未定 初戦の鳴門渦潮戦では文句なしのパフォーマンスだった。第1打席で左前安打を放ち、処理が遅れているレフトの動きを逃さず二塁へ。第2打席は粘って高めのスライダーを逃さず、フェンス直撃の走者一掃の適時打。第5打席でも左前安打を放ち、相手のエラーから二塁に達した宇野は、二塁内野安打からホームイン。鳴門渦潮の一塁手が気づいた時にはホームインしていたので、スタートの良さ、走塁のスピードは別格だった。ショート守備でもフットワークが軽快な動きを見せた。 スカウトが見る初戦で3安打を記録したため、アピールには成功。しかしその後2試合はノーヒット。第1打席でヒットが出ないとその後の打席はヒットが出ないという確実性の低さが課題だ。 箱山 遥人捕手(健大高崎:2回戦敗退) 甲子園初戦の成績:3打数1安打1打点 アピール度B 進路:プロ志望届提出表明 強打の捕手として乗り込んだ甲子園だが、2試合で終わった。英明戦では3打数1安打1打点。レフトへの大飛球を放ち、二塁走者の好走塁で犠牲フライとなった。打撃の形はよく、体勢を崩されず、常に強い打球を打つことができていた。捕手でも強肩を示し、9回裏、二死一塁からボール球で体勢を崩されても強いスローイングを見せて盗塁阻止した。2回戦の智辯学園戦では三塁封殺のジャンピングスローなど守備面の貢献度が大きかった。ただ、2本塁打12打点、打率.562の活躍を見せた群馬大会と比べるとインパクトはやや欠けた。U-18代表では攻守の中心として活躍が期待される。 正林 輝大外野手(神村学園:準決勝敗退) 甲子園初戦の成績:4打数0安打 アピール度C 進路:プロ志望届提出表明 大会通しても21打数3安打に終わってしまい、不完全燃焼に終わった今大会。木更津総合戦の第1打席で左中間を破りそうな打球をレフトに好捕されてから、リズムを崩し、打撃フォームに狂いが生じてしまった。その後の打席でも振り遅れ気味のファウルが増えてしまい、持ち味を発揮できずに終わった。ただ、センバツでは打率.556、直後の春季九州大会では打率.429、鹿児島大会では打率.450といずれも高打率を残している。高卒プロ志望の正林は甲子園不調でも継続的に評価している球団に指名してもらえることを願うしかない。最後の公式戦アピールは佐賀国スポとなる。 中村 奈一輝内野手(宮崎商:初戦敗退) 甲子園初戦の成績:5打数1安打 アピール度B 進路:プロ志望届提出表明 九州屈指の大型遊撃手として注目された中村は中京大中京戦で左前安打。シャープなスイングから鋭い打球を放っていた。遊撃守備もスピーディで1つ1つの動きが身軽で、投手としても140キロ台の強肩を投げるということもあって、送球はかなり強かった。ただ猛暑の影響で打球を追う際に足をつってしまい、終盤は思うような動きができなかったのが悔やまれる。 藤原 佑(大社:ベスト8) 甲子園初戦の成績:4打数2安打1盗塁 アピール度A 進路:プロか社会人 地方大会で打率.667、12盗塁を記録していた巧打のトップバッターは報徳学園との初戦で持ち味を見せた。今朝丸 裕喜投手から右前安打を放ち、アウトになった二塁へ陥れる姿勢を見せた。8️回表には間木 歩投手から左前安打を放ち、初球で盗塁を決めた。この試合、ホームラン性のファールを見せており、持ち味は十分に発揮した。準々決勝敗退後にプロ志望届を提出する意向を示しながらも、指名漏れになった場合は社会人だという。 今年のドラフト会議は10月24日、12球団はどんな評価を下すのか。