ケーブル・保護管販売のイグス、デジタル技術活用し提案力強化。AI・VRで多品種同時に
ケーブルやケーブル保護管などを販売するイグス(本社・東京都墨田区、社長・吉田剛氏)はデジタル技術を活用して提案力を強化している。人工知能(AI)を活用したアプリや、仮想現実(VR)を用いたシステムを使い、顧客に複数種類の製品を同時に提案する。吉田社長はデジタル技術を用いた新提案について「我々が有する多彩な製品群がどこでどのように活用いただいているかを理解してもらえることが利点」と話す。ワンストップで多くの製品群を提案することで顧客の利便性を高めるなどして販売拡大を狙う。 同社はケーブル・保護管・ベアリングなどの世界的メーカーであるドイツのイグス社の日本法人として製品を販売。デジタル技術を活用した新提案は独イグス社が開発した。 スマートフォンやタブレットなどで使用するAIを用いたアプリ「イグスGO」は5月に日本語版が開発され、すでに活用されている。ユーザーが設備や製品の写真を撮影・送信するとAIが画像認識し、そこで活用できる同社のさまざまな製品を自動的に提案する。産業用ロボット関連の顧客に動きに強いケーブルやベアリングなどを、自動車関連の顧客には電動シートで使う電線やその保護管などをそれぞれセットで提案するなどの用途を想定している。AIの学習機能により運用しながら画像認識の精度を高めていくという。 VRを用いた提案ツールの「イグバース」はソフトやVRゴーグルなどで構成されるシステムとなっている。仮想空間の中に自動車やロボット、工作機械などを再現。それぞれのどの部分で同社の幅広い製品を使うことができるのかを分かりやすく示す。自動車や設備を動かしつつさまざまな角度で製品活用例が見られることや、遠隔地にいても活用可能なことなどが特長。展示会などで用いるもので、イグスでは19日に東京ビッグサイトで開幕した機械要素技術展で紹介している。吉田社長は「将来的には営業ツールとしての活用も視野に入れている」と話している。