「僕の仕事ではありません」…どこにでもいる「言われたことしかしない若手社員」の実態
根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち5刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。 【写真】知ったら全員驚愕…職場をダメにする人の「ヤバい実態」 最近どこの職場でも増えているのが、上司や先輩から言われたことしかしない若手社員である。典型的な指示待ちタイプで、指示されなければ何もせず、ぼうっとしている。先輩や同僚が忙しそうにしていても、手伝わない。上司から「少し手伝ったらどうか」と諭されても、「自分の仕事はちゃんとやっています」「指示がなかったので、僕の仕事だと思いませんでした」などと答え、定時で帰る。
「僕の仕事ではありませんから」と言って、手伝わない
指示待ちタイプというだけならまだしも対処のしようがあるが、なかには持論を繰り返し、自己正当化に終始する若手社員もいる。たとえば、IT系企業に勤務する20代の男性社員は、結果さえ出していれば協調性なんて要らないと思っているのか、大量の仕事を抱えた同僚が忙しそうにしていて困っていても、手伝おうとしない。上司が手伝うよう促しても、「僕の仕事ではありませんから」と言って、協力しない。 上司が「君が困ったら助けてもらうかもしれないのだから、お互い様だと思って、協力するのが同じ課の仲間だろう」と諭しても、「僕、ちゃんと結果出していますよね? 僕、何かおかしなこと言っていますか? そもそも、これは僕がやるべき仕事ですか?」と頑(かたく)なに手伝おうとしない。それどころか、「できない奴の仕事を手伝っていたら、自分の仕事ができないじゃないですか。結局、優秀で真面目な人間にしわ寄せがくるじゃないですか。そんなの真っ平ごめんです」と怒り出す。 たしかに、この部下が業績をあげているのは事実なので、上司としては反論しにくいという。しかも、名門大学を優秀な成績で卒業しており、将来の幹部候補として一部の役員から目をかけられているようだ。そのため、「自分は特別だから多少のことは許される」という特権意識を抱くようになったのかもしれない。 こういうタイプは、上司からすれば扱いづらいだろう。そのせいか、直属の上司は「厳しく注意したら、パワハラで告発されたり役員に言いつけられたりするかもしれない。かといって、このままにはしておけないし、一体どう対応すればいいのか」と思い悩んで、私に相談した。 つづく「大人が知らない、若者が『頑張るだけ無駄』と思い込んでいる『当然の理由』」では、現在20代の若者(Z世代)には指示待ちタイプが多く、効率のいい時間の活用を何よりも重視し、時間の浪費をできるだけなくそうとする実態に迫る。
片田 珠美(精神科医)