飯南かつて製材所50軒 粥見小5、6年、地元で盛んな林業学ぶ 三重・松阪
チェーンソーや滑車、しょいこも教室に
三重県松阪市飯南町粥見の市立粥見小学校(村井清美校長、81人)の5、6年生の25人は9日午後1時50分から同校で、飯南飯高地域で盛んな林業について出前授業を受けた。叶林業合名会社(飯高町宮前)の従業員3人から林業をはじめ、木を製材する人、木を使う人、全てがそろって豊かな自然が将来へ続くことを学んだ。 地域の産業を学ぶことと将来の職業観を養うキャリア教育の一環で、2学年合同の総合的学習の時間で取り組んだ。 この日は叶林業の堀内楓子さん(37)と、弟の堀内宣孝さん(35)、妻の美有紀さん(36)を講師に行われた。まず楓子さんが、飯南飯高地域の林業の歴史について「全国の林業の模範とされてきた奈良県の吉野林業地の隣にあり、古くから林業技術が伝わっている」「江戸時代後期から林業が行われている」「地域の気候や自然が林業に適している」「飯南町はかつて製材所が50軒。日本一の製材のまち」と紹介した。 伐採や枝打ちといった作業の様子を動画や写真で示しながら、「仕事は木を切るだけではないんですよ」と伝えて▶山にどんな木を植えようか考える▶苗を育てて植えて森林を育む▶下草刈りや間伐、枝打ち▶獣害対策──などを挙げた。 宣孝さんはチェーンソー用のヘルメットをかぶって、ハンマーやメジャーなど山で使う道具を身に着けて登場。児童の質問を受ける中で「苗を植えて市場に出荷できるまで60~70年育てる」「山で遭遇したことがある動物はカモシカやイノシシ、ムササビ、アライグマ。クマには遭ったことはない」「木の値段は体積で決まる」などと答えた。 教室には現場で使うはしごやチェーンソー、ワイヤ、滑車、しょいこといった道具も並び、児童たちはそれらを持つなどして山での仕事を想像した。また、杉やヒノキの枝、山に生えているさまざまな木の枝や葉、樹齢100年を越える木の幹の輪切りなどにも実際に触れた。 楓子さんは「私たちの仕事は受け継いで、先につないでいくというつなぎ目」「木に関わる人全てがそろって山のある地域の風景が受け継がれていく」と話した。 6年・柳瀬大生君は「林業は木を切るだけでなくていろいろな仕事があると分かった」、同・中西惇汰君は「山とかに関心がなかったけど山の話を聞いて面白かった」、湯谷糸花さんは「山は身近にあるけど知らないことがたくさんだった。森を大切にしたい」とそれぞれ話した。