人手不足を感じる飲食店は64.3% 高水準ながらも前年から改善傾向、DXやスポットワークの普及が背景か
非正社員の人手不足、「103万の壁」見直しで解消なるか
「仕事はあるが、人手不足で受けきれない」といった苦悩の声が、業種を問わず多くの企業からあがっている。業績拡大の大きな足かせとなる人手不足は、今や日本全体の社会問題だ。2025年は「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者に到達し、「団塊ジュニア」の多くが50歳以上となるなど、更なる労働力不足が予測される。こうしたなか、業務効率化に向けた生産性の向上は企業経営を左右する大きな要素であり、DXによる省人化への早期着手がカギを握る。
人手不足の割合は正社員で51.7%と5割超 非正社員は高水準ながらも「やや緩和傾向」に
2024年10月時点における全業種の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.7%だった。前年同月比では2カ月連続で低下したものの下げ幅は小さく、依然として5割を上回るなど、高止まりが続いている。 非正社員では29.5%だった。前年同月から1.4pt低下し、同13カ月連続で前の月を下回る結果となり、人手不足は緩和傾向へ転じている。
正社員・業種別:ITエンジニア不足の「情報サービス」が70.2%でトップ、唯一の7割超
正社員の人手不足に関して業種別でみると、SE不足が深刻な「情報サービス」が70.2%でトップだった。前年同月比2.7pt低下となったものの、依然として業種別で唯一の7割超だった。「開発案件が多いなかで人手不足が顕著」(ソフト受託開発、東京都)との声があり、堅調な需要を背景に人手不足が慢性化している。 「メンテナンス・警備・検査」は69.7%で、7割に迫る高水準。需要は底堅いなかで、技術者不足や就業者の高齢化が指摘されている。また、時間外労働時間の上限規制が適用された「2024年問題」に直面している「建設」(69.6%)や「運輸・倉庫」(65.8%)、デジタル人材へのリスキリングなどに注目が集まっている「金融」(67.1%)など5業種が6割台となり人手不足が目立っている。
非正社員・業種別:最も高い「飲食店」を中心に、上位10業種中9業種で前年同月から低下
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」は64.3%となった。次いで「旅館・ホテル」が続き、60.9%と高水準となった。 以下、社会全体の人手不足によって引き合いが堅調であることに加えて、派遣人材の不足が聞かれる「人材派遣・紹介」(55.2%)や、正社員でも高い人手不足割合がみられた「メンテナンス・警備・検査」(54.1%)が5割台で続いた。スーパーマーケットや百貨店が含まれる「各種商品小売」(48.9%)なども高水準ではあったものの、上位10業種中9業種で前年同月から低下する結果となった。