高橋文哉が語る「“周りの評価”との向き合い方」 芝居で心がけていること、先輩俳優からの刺激
――運を引き寄せるのも芸能界で生き残っていくうえで大事な要素であり、それも実力かもしれません。 地元の友人の間でも、「運では文哉に勝てない」と言われています(笑)。 ――これまでに挫折のような経験もありますか? 細かいことはたくさんありますが、いろいろな人との出会いや、さまざまな形の助けがあっていまの自分があると思っています。 ■『あの人が消えた』への出演決めた理由 ――出演作が途切れず、仕事のオファーも多いと思います。そのなかから、人気漫画原作などの大規模な予算をかけるエンターテインメント大作ではなく、小規模な作家性の強い作品である『あの人が消えた』を選んだ理由を教えてください。
たしかに公開規模はそれほど大きくない映画ですが、オリジナルの脚本を読んだときに、強烈なおもしろさを感じました。この作品に主演として呼んでいただけたことが本当にうれしかったです。 脚本と監督の水野さんは『ブラッシュアップライフ』を拝見したときから一緒にお仕事をさせていただきたいと思っていましたし、共演者の方々のお名前を見て、とにかく楽しそうだと思いました。 ――水野さんらしい、裏の裏の裏まである重層的なストーリーです。ある名作洋画を思わせます。
撮影現場で監督とその洋画を見ながら、合せ技のような感じでやりたい、みたいな話をしていたことがありました。気づく人がどのくらいいるか気になります(笑)。 ――叙述トリックによるカタルシスがあり、もう一度見て細部を確認したくなる作品でした。 僕はそういった物語がひっくり返されるタイプの作品が好きです。自分たちが見ていたものが真実ではないと気づいたときの驚きや失望感は、心を揺さぶります。本作にはそういう要素があり、そこには「いま生きている社会の目の前にある現実がすべて真実かと問われたら、決してそうではない」というメッセージがあります。