二階訪中団「無視」と中国軍機「意図的」領空侵犯が示す習近平のシグナル
日中友好の“功労者”を出迎えたのはナンバー3の趙楽際・全国人民代表大会常務委員長(右)だった[2024年8月28日=中国・北京の人民大会堂](在中国日本大使館HPより)
二階俊博元自民党幹事長を会長とする超党派の日中友好議員連盟訪中団が、8月27日から29日の中国滞在中に習近平国家主席と会談できなかったことは、日中関係者の間で衝撃を持って受け止められている。日本政府は、 習近平「一強」体制 となった現在、日中間の懸案解決のために習近平に直接働き掛ける以外に方法はないと判断している。日中関係には二階氏訪中前日に起こった「中国軍機による初の日本領空侵犯」という新たな火種が加わったが、総理以外に習近平に会える唯一の日本人と見込んだ二階氏まで会談を拒否され、打つ手がない状況に追い込まれている。習近平による意図的な冷遇は、日本の次期総理の対中方針次第では「日本を相手にせず」というメッセージを込めたものである。 二階氏は「習近平に会える最後の日本政治家」と言われた。最も象徴的だったのは、2015年に日中関係が緊張する中、自民党総務会長として3000人の観光関係者を引き連れて訪中し、北京の人民大会堂で開催された「中日友好交流大会」に習近平国家主席が登場したことだ。2017年5月にも、自民党幹事長として習近平が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」国際会議に出席し、一帯一路に協力姿勢を示した安倍晋三総理(当時)の親書を習近平との面会で渡し、習近平を喜ばせた。17年12月、19年4月にも習近平と面会している。 それ以前も、「数の力」で日中友好を盛り上げた。2000年に運輸相として5200人の訪中団を、日中国交正常化30周年の2002年9月には日本から1万3000人の観光使節団をそれぞれ北京に派遣した。
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城山英巳