尹大統領、夫人問題解決のための刷新要求にも耳を貸さず「石を投げつけられても進む」
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は22日、「様々な困難な状況があるが、業(ごう)だと思って石を投げつけられても当たりながら進んでいく」と述べた。前日、与党「国民の力」のハン・ドンフン代表との「81分面談」で、大統領夫人キム・ゴンヒ女史問題を解決しようとハン代表が提示した「3大要求案」を大統領はすべて拒否しているが、その後の最初の公開発言だ。次々と持ち上がる疑惑で沸きたつ民意と与党の刷新要求に耳を貸さず、「キム・ゴンヒ防衛」のための独善とコミュニケーション不在の道を歩み続けることを宣言したかたちだ。ハン代表はこの日の夜、およそ20人の親ハン・ドンフン派議員と予定になかった夕食の席を設け、後続措置などを議論した。 尹大統領はこの日、釜山金井区(プサン・クムジョング)の梵魚寺(ポモサ)を訪ね、「国と国民のために右顧左眄(うこさべん)することなく働く」と述べ、自身は正しいものの試練に直面しているとの認識を示した。梵魚寺のある金井区は、今月16日の区長補欠選挙で接戦が予想されていたことから、ハン代表が6回訪問して支援し、国民の力が勝利している。親ハン派は「キム・ゴンヒ・リスク」で負けそうだった選挙に、ハン代表の刷新要求などの努力で勝利したと主張する。一方、親尹錫悦派は「勝つべきところでの当然の勝利」だとしている。 尹大統領のこのような発言に先立ち、大統領室の関係者はこの日午前、記者団に対し、尹大統領の前日のハン代表との面談での発言を詳しく語った。尹大統領は「特検と検察の捜査は客観的容疑と手がかりがなければならず、政治的疑惑だけで、信じたいからといって進めるものではない」とし、「与党が違憲の、そして憲政をじゅうりんする法にブレーキをかけたのは幸いであり、感謝している」と述べたという。自身が拒否権を行使した「キム・ゴンヒ特検法」が国会での再採決で否決されたことを述べたものだ。 今月4日の再採決では、与党から造反票が少なくとも4票出たが、政界では、キム女史問題を解決しなければ尹大統領が拒否権を行使しても次の再採決では造反が広がる恐れがある、との見通しが支配的だ。ハン代表は面談で「このままでは造反票を防ぐことは難しい」との趣旨の発言もしたが、尹大統領は「与党議員に憲政をじゅうりんする野党と同じ立場を取られたら、私としてもどうしようもないが、わが党の議員を信じる」と答えた。大統領室の関係者は「違憲法案に賛成する与党議員が果たしているのか、との趣旨」だと説明した。 尹大統領は、ハン代表が要求したキム女史問題の3つの解決策もすべて拒否した。「キム・ゴンヒ・ライン(関係者)」などの大統領室の人的刷新要求に対し、尹大統領は「誰が具体的にどんな行動にどんな問題があるのか言ってくれないと、措置が取れないのではないか」として、「詳細に書いて秘書室長と政務首席に教えてくれたら、ちゃんと判断してみる」と述べた。キム女史の活動中止要求に対しては、「(キム女史も)大変苦しんでいる」とし、「すでに非常に自制している。それでも出過ぎだと言われるので、さらに自制しようとしている」と述べた。キム女史に関する疑惑の究明に対する協力については、「疑惑があれば漠然と話さずに、具体化して持ってきてほしい」と述べた。尹大統領は、特別監察官の任命についても「与野党が協議すべき問題」だと線を引いた。 前日の尹大統領とハン代表の面談直後、パク・チョンハ秘書室長を通じて会見を開いたハン代表とは異なり、大統領室は何の説明もせず、反応も示していなかった。ハン代表の要求に一つひとつ「反論」した尹大統領の発言を一日たって公開したのは、事実上ハン代表とは異なる「自らの進むべき道を行く」というシグナルだと解釈される。 親ハン派は強く反発した。この日のハン代表と親ハン派の議員たちの夕食の席では、「現在の状況を重くみているという認識を共有した」とチョ・ギョンテ議員は語った。党指導部の議員はハンギョレに、「尹大統領の態度は、大統領室と党いずれも共倒れになるというもの」だと批判した。親ハン派は「キム・ゴンヒ・ライン」を具体的に提示しろとの尹大統領の発言についても、「ハン代表は面談で10人近い人々の名前と問題を説明した」と反論している。 一方、国民の力の釜山地域選出のある議員は、「尹大統領は公式日程後に地域の議員らと夕食を共にする予定だったが、取り消しを通知された」と語った。しかし大統領室は、最初からそのような計画はなかったと否定している。 イ・スンジュン、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )