「人の顔と名前が覚えられない」悩みをもつ40代。清水ミチコさんが実践する工夫
ESSE読者から寄せられたお悩みに、清水ミチコさんがお答え!
Q:人の名前と顔を覚えるのが苦手です…
人の顔と名前を覚えるのが苦手です。子どもの学校行事で「お久しぶり」と声をかけられてもまったくわからないことがよくあり、申しわけなくて、保護者が集まる行事がとてもストレス。一度お会いした方の、顔と名前の記憶の方法を教えていただきたいです。 dmさん(44歳・アルバイト)
A:鍛えるべきは記憶力ではなくスルー力
今年の夏も、ものすごく暑いですね。いや暑いという漢字はもはや、熱いと書く方がしっくり来るような熱帯地獄です。こうも暑いと、脳みそも考えようとはしたくもなくなります。あなたのお悩みも、あんまり考えないでお答えします。あっさり行きましょう。昼は素麺。 だいたい、人の顔や名前なんて想像以上に覚えられないものですよ。私なんかもしょっちゅう人から声をかけられますが、名前と顔や会った場所など、ほとんど記憶に残ってません。向こうは知っているけど私にはわかっていない。20代から続いているこのパターンが、今もなおえんえん続いています。 なのでちょっとした工夫をしています。覚える工夫じゃないですよ。消極的な涼しい工夫。それは、「なりすまし」です。「成り上がり」みたいなニュアンスで口に出してみてください。相手から「お久しぶり」などと声をかけられたら、即座に(もちろん知ってますよ)という顔をつくります。これが下ごしらえ。 そして「あら!」などと波長を合わせる。あとはニコニコしている。これで素麺の完成です。それだけでいいのです。天ぷらもネギもいりません。声をかけてきた相手が望むものは、じつは単純な「挨拶(あいさつ)がえし」だけだったりするんですから。返事に真心を入れなくても大丈夫ですよ。
ただし私は一度、こんな経験があります。「悪いけどサイン書いてもらえる? 宛名つきで」と言われたのです。宛名!? 体温が下がり、頭は真っ白、顔は真っ青、目は白黒とカラフルに死にかけました。しかし、なんとか妙案を思いつきました。 「下の名前なんだったっけ?」という言葉を編み出したのです。(もちろん苗字は知ってるけどね!)というテイで息を吹き返した私は、やっと肌色にもどりました。ネットが蔓延(まんえん)して、人類は稀に見る情報量の多さに脳が疲労してると聞きます。きっと脳の海馬も(なにもそんな会わない人の名前と顔を覚えなくても)と処理したいのかもしれません。海馬に従いましょう。 覚え方への回答にはなっていませんが、これからは、記憶力を鍛えるよりも、なにかはスルーし、平気でいられる器。素麺スルスルーと覚えてください。
ESSE編集部