「かわいさ」重視のLinuxディストロ--アニメファン向けの「NyArch Linux」
本記事の要点 「NyArch Linux」はかわいさにあふれるオープンソース形式のOSだ。無料で入手することができる。 「かわいい」をレベルアップする多彩なカスタマイズ機能と、多数のGNOMEアプリケーションを提供する。 筆者が使ってきた中で最も安定したLinuxディストリビューションではない。 「NyArch Linux」は、日本文化、とりわけポップカルチャー、もっと具体的に言えば漫画やアニメを愛する人のために特別に作られたOSだ。長年にわたりアニメを見て、漫画を読んでいた筆者は、しばらく時間が空いたが、今でも時折ふとアニメを見て、大学院時代の思い出に浸ることや、本当に優れたアニメーションや物語を楽しむことがある。 だが、アニメや漫画に触発された「Linux」ディストリビューションというのは、何だか楽しそうだ。 実際に楽しい。 NyArch Linuxのベースは、「Arch Linux」と「GNOME」デスクトップだ。インストールのしやすさと相まって、多くの人が心惹かれる選択肢になるだろう。そこに愛らしい「かわいさ」が加わって、多くの魅力があるディストリビューションとなっている。 ただし、あまり真剣に考えないように。 自宅や学校では大いに楽しめるNyArchだが、オフィスで使うLinuxディストリビューションではないだろう。しかし、ビジネス環境がNyArchのターゲットというわけではない。NyArchは、あふれるかわいさが本質であり、猫を愛し、かわいさを追い求める自分の一面を楽しむことを思い出させるOSだ。 だからといって、NyArchはからかいや嘲笑の対象になるものではない。Linuxなので、何にでもなれる可能性と、何でもできる可能性がある。さらに、Arch Linuxであるため、堅実かつ安全で、カスタマイズ性が高い。 NyArchには、とっておきの楽しい機能もいくつかある。たとえば、6種類のデスクトップレイアウト(下部パネル、標準のGNOME、メニュー付きの上部パネル、メニューとドック付きの上部パネル、ドック付きの上部パネル、左側のドック付きの上部パネル)を選択できるほか、アニメーションを含むテーマツールを備えている。筆者のお気に入りは「Wobbly Windows」と「Desktop Cube」の2つだ。 紹介しておくべきカスタマイズ機能の1つが「Material UwU」だ。これはGNOME拡張機能であり、自分で選択した壁紙を使用してシステムのテーマを自動的に設定することができる。Googleの「Android」と「Material You」での取り組みによく似ており、非常にうまく機能する。新しい壁紙画像を選択すると、それに従ってテーマが調整される。さらに、アニメや漫画からインスピレーションを得た画像(女性や獣耳のキャラクターがベース)を壁紙用に無作為にダウンロードするアプリケーションが2つ用意されている。 デフォルトのアプリケーションは、「Firefox」、標準のGNOMEアプリ(「Files」「Weather」「Videos」「Calculator」「Terminal」「Text Editor」など)、「Geary」「Lillypop」(音楽プレーヤー)、「Chromium」「Extension Manager」「Flatseal」(「Flatpak」の権限マネージャー)などだ。 さまざまな漫画作品を多数のソースから簡単にダウンロードして読むことができる「Komikku」アプリもある。 NyArchに唯一欠けているアプリはオフィススイートだが、「LibreOffice」を「Packages」アプリからインストールできる。 NyArchに全く問題がなかったと言うつもりはない。かなり多くのアプリケーションがクラッシュして(Packagesなど)、作業が大変だった。そのため、アプリケーションをコマンドラインからインストールしなければならなくなった(sudo pacman -Syu libreofficeなど)。筆者はこの問題に目をつぶってもいいと思った。理由は、NyArchが開発者チームによって開発されたわけではないという点と、筆者はNyArchの難点を回避する方法を知っているからだ。しかし、ベースであるLinuxに期待される水準に達していないLinuxディストリビューションを扱うスキルがない人にとって、NyArchは少々難しすぎるかもしれない。 とはいえ、筆者がNyArchのテストで「VirtualBox」仮想マシンを使用しことに留意してほしい。筆者が経験した問題は、このディストリビューションを独自のマシン(「ベアメタル」とも呼ばれる)上で実行しなかったことが原因である可能性が非常に高い。 そのような問題が気になる人は、いつでも「NyArcher」を使用することができる。これは「NyArch Customizations」をインストールするシェルスクリプトで、Archや「Fedora」、さらには「Ubuntu」ディストリビューションで利用可能だ。 NyArcherは以下のコマンドで使用する。 Arch Linux sudo pacman -S curl python3-pip flatpak svn gnome-menus kitty wget git neofetch npm nodejs btop gnome-menus gnome-shell-extensions sudo pacman -S python-pywal Fedora sudo dnf install curl flatpak python3-pip svn gnome-menus kitty wget git neofetch npm nodejs btop gnome-menus gnome-extensions-app sudo pip3 install pywal sudo cp /usr/local/bin/wal /usr/bin/wal Ubuntu sudo apt install curl python3-pip flatpak subversion gnome-menus kitty wget git neofetch npm nodejs btop gnome-menus gnome-shell-extension-prefs sudo pip3 install pywal このスクリプトを使用する場合、NyArchの完全な体験が得られなくなる点に注意してほしい。 筆者から見ると、NyArchの体験には多くの楽しさがある。NyArchをメインのディストリビューションとして使うかと聞かれれば、答えはノーだが、試す価値があるかと聞かれたら、間違いなくイエスと答える。ちょっとしたあふれるかわいさを求めているなら、このArch Linuxベースのディストリビューションを試して、日々の生活で思わず笑顔を浮かべてしまうかどうか確かめてみてほしい。 この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。