M4 Maxチップ搭載「16インチMacBook Pro」の実力をチェック 誰に勧めるべきモデルなのか?
ハードウェアアクセラレーションの差が際立つ「Blender Benchmark」
2D/3Dグラフィックスのレンダリングパフォーマンスをチェックする「Blender Benchmark」の結果だが、先に述べた通りM3ファミリー以降に搭載されたアクセラレーター類は効果てきめんで、コア数だけが多いM2 Ultraチップは若干の置いてけぼりを食らってしまっている。 76コアGPUを備えるM2 Ultraチップの総合スコアは、3346.26ポイントだった。それに対して、20コアGPUを備えるM4 Proチップは2547.55ポイントだ。コア数が3.8倍あるM2 Ultraチップだが、総合スコアは1.3倍しか差を付けられていない。言うまでもなく、40コアGPUのM4 Maxチップ(5222.18ポイント)には遠く及ばない。同じ40コアGPUで比べると、M3 Maxチップの総合スコアは4171.61ポイントで、わずか1世代で25.2%も性能が向上している。 TUF Gaming A16(FA607PI)のGeForce RTX 4070 Laptopはの総合スコアは3542.35ポイントとM4 Proチップと比べると少しだけ高い。しかし、M4 Maxチップには1.5倍近い差を付けられている。はるかに大きな電力を消費することを考えれば、M4 Maxチップにも及ばない(絶対的な価格差を度外視すれば)。 ちなみにM4 MaxチップとM2 ProチップのGPUコア1基当たりのスコアを算出してみると、M4 Maxチップの130.55ポイントに対して、M4 Proは127.38ポイントとなる。ほぼ線形なスケーリング効率を示しており、いわゆる熱だれはほとんど見られない様子がうかがえる、
「Photoshop」「DaVinci Resolve」のパフォーマンスも有意に向上
次に、「Puget Systems Benchmark」を使って、Adobe Photoshopのパフォーマンスをチェックしていこう。 M4 Maxチップのスコアは、M3 Maxチップ比で約22.5%、M3 Proチップ比で約21.1%向上しており、M2 Ultraチップと比べても約14.3%高い。そして興味深いことに、M4チップでもM3 Proチップのスコアを上回っている。もちろん、消費電力ははるかに低いだろう。 PhotoshopのパフォーマンスはGPU性能と若干の相関関係があるものの、基本的にはM4チップでも各種ワークフローをこなすには十分な性能を備えている。ニューラルフィルターなど負荷の掛かる応用的処理をする場合を考えても、M4 Proチップ以上のモデルは費用対効果が低くなってしまうかもしれない。 続けて、Puget Systems Benchmarkを使って「DaVinci Resolve」のパフォーマンスを確かめよう。 先ほど「PhotoshopのワークフローならM4チップでも十分」と言ったが、動画編集アプリであるDaVinci Resolveのテストでは、GPUのパフォーマンス差が明らかに分かる結果となった。スコア的には、Geekbench 6のComputeテストとのスコアとの相関性は極めて高い。 他の動画編集アプリもそうだが、より多くの画素数(より高い解像度)で多くのエフェクトを利用したり、情報の欠落が少ない画素フォーマットで編集を行ったりする場合、演算プロセッサとしてのGPUが大きな役割を果たすからだ。 そのスコアだが、M4 MaxチップはM3 Maxチップ比で約14.8%、M4 ProチップはM3 Proチップ比で約34.4%、それぞれ向上している。M4 Maxチップについては、72基のGPUコアを備えるM2 Ultraチップに対しても10.6%ほどスコアが高くなっている。Proチップ同士のスコア差がこれだけ大きくなっているのは、メモリ帯域幅が1.75倍に広がった効果も大きいと思われる。 プロフェッショナル用途ならM4 Maxチップが欲しくなるだろうが、4K(3840×2160ピクセル)動画の編集用途にMacを探しているのなら、M4 Proチップ搭載モデルが費用対効果の面で優れている。 「いやいや、絶対的な性能は高い方がいい」という人であれば、M4 Maxチップが最良の選択肢だとは思うが、M4チップファミリーに限っていえば、M4 Proチップのコストパフォーマンスの良さは光るものがある。 一方、ベースグレードのM4チップのCPU性能も、省電力性能を鑑みると大変魅力的だ。14インチMacBook ProならM4チップモデルも用意されているので、「ポートがある程度そろっているMacBook Proがいいけれど、値段がな……」とちゅうちょしていた人も、安心して選択できる。「MacBook Air」など、いまだにM3ファミリーまでの採用にとどまっている製品のアップデートにも期待が膨らむ結果といえるだろう。