日本車メーカーはトヨタだけが生き残る…トランプ氏の「EV嫌い政策」で豊田章男会長の"予言"が注目されるワケ
ガソリン車やハイブリッド車を生産するライバル各社は、カリフォルニア・ニューヨーク・マサチューセッツ・ニュージャージーなどの民主党支配州において基準を超えてCO2 を排出するクルマを販売した分、CO2 を排出しない製品を売るテスラのようなEV専業メーカーから排ガスゼロ車のクレジット(排出枠)を買い取らなければならない。 競合各社はマスク氏が仕掛けた安売り競争に引きずり込まれて体力を消耗した上に、EV補助金も失い、彼が経営するテスラから排出枠を買ってさらに「敵に塩を送る」ことが義務付けられているという地獄のシステムだ。 ■純利益の43%が「敵から送られた塩」 テスラは排ガス規制の要件順守に苦戦する競合メーカーに対する温暖化ガス排出枠の売却で2023年に17億9000万ドル(約2771億円)もの収益を上げている。 加えて2024年1~9月だけで、排出枠販売の収益は21億ドル(約3250億円)とさらに伸びており、同期間のテスラの純利益の43%を占める。 この文脈において、テスラ以外のEVメーカーがトランプ次期大統領に「EV補助金を廃止しないでほしい」「燃費規制を緩和してほしい」と直訴するのは、大いに理にかなっている。 なお、全米EV販売台数のおよそ25%を占める西部カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は11月25日、トランプ次期大統領がEV購入者に対する税額控除を廃止した場合には、州独自のEV購入補助金を導入すると発表した。ところが、同州のEV販売で55%の圧倒的シェアを誇るテスラは対象から除外される見込みだ。米メディアは、民主党によるマスク氏への「報復」であると見ている。 ただ排出枠のルールは、連邦政府ではなくカリフォルニア州が定めて、毎年厳格化しているものなので、トヨタは「来年から販売される2026年モデルの35%を排ガスゼロ車にする基準はとても満たせず、消費者の選択肢を狭めるものだ」と米世論に訴えている。 その一方でトヨタは、2026年に米市場などに投入予定だった次世代「レクサス」EVの生産開始を2027年半ばに遅らせる方向で調整していると伝えられる。