ユースは「太い柱」、それでも「全国高校サッカー選手権」はやめない…川淵三郎が「断固反対」したワケ
サッカー・Jリーグ初代チェアマンで、日本サッカー協会会長などを歴任した川淵三郎さんが、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演。スポーツ団体や大会における「歴史」や「伝統」の重要性を、番組MCの元男子日本代表の槙野智章さんと語った。 【貴重写真】小学生相手に本気の駆け引き…川淵さんのドリブル
ナビスコカップ誕生の舞台裏
1993年にスタートしたJリーグは当時、新しいスポーツリーグとして華々しいスタートを切った。ただ、意外にも川淵さんはスポーツにおける「伝統」や「歴史」の重みを強調して、Jリーグ誕生前の体験を明かす。
「もう覚えていないだろうけど、ナビスコカップ(現・YBCルヴァンカップ)をスタートするとき、わりかた、みんな『やる必要ない』って反対したんだよね。僕は『よく分かってない』って断固(開催を決めた)。どんな大会だって1回目がある。数を重ねていくうちに値打ちが出てくる。そういうためにナビスコカップをやるべきだと言って。30回以上続けて今は値打ちのある大会になったわけだから」
伝統という意味では、今年103回目をむかえる全国高校サッカー選手権大会についても同じだ。Jリーグの各クラブが運営するアカデミー出身の代表選手が増えたが、上田綺世(フェイエノールト)らは、全国高校サッカー選手権大会の出場経験を持つ選手たちだ。
「Jリーグができた時に選手権大会をやめて、クラブとの日本一を決める年代別の大会をやろうと言われて、俺は断固反対したんだよね。選手権大会って長い歴史がある。歴史は大事にしなきゃいけない。伝統っていうのはね、絶対に大事なんだよ」
廃止論に「待った」
高校サッカーとJリーグのクラブチームのアカデミー組織。この二本柱がそれぞれ存在できているのが、日本サッカー界の特色でもあるという。
「日本と海外で違うのは高校サッカーなんだよね。これはやっぱり大事なんだ。太い柱が高校サッカー。今はクラブチームのユースも太い柱になってきたけど、支えてきたのは高校サッカーなんだよ。だから高校サッカーを大事にしながら、クラブとも切磋琢磨してやっていく今のあり方はすごくいいと思う」