教員不足に一石、注目「求人サイト」開発は大学生 4自治体で採用、2カ月で300名の潜在教員が登録
背景に「自治体の思い込み」や「不透明な待遇条件」
教員不足の問題は私立校と公立校では事情が異なり、とくに公立校の講師登録制度に課題があると思ったため、公立校特化型の求人サイトを作ることにしたという。 「公立校は予算主義で参入が厳しい一方、私立校なら決裁権が学校にあるため比較的ビジネスが成立しやすいので、よく周りからは『まず私立校を対象に始めたほうがいい』と助言されました。しかし、ビジネス成立のために妥協するのでは、本来の課題解決にはつながらないと思いました」 では、公立校の講師登録制度には、どのような課題があると感じたのか。 「まず、自治体側の認識として『講師に関心のある人は、必ず講師登録をする』という固定観念がありました。教員採用試験の倍率が高かった時代に講師を担ったのは、その年に教員採用試験に合格できなかった方々がほとんどだったと思います。だから、募集すれば集まるという考えが根付いていたのでしょう。しかし、今は講師に関心があるのに講師登録しない人が多いという事態が起きています」 講師登録をためらう理由としては、「どこの学校で働けるのかわからない」「どのタイミングで働き始めることができるのかわからない」「いきなり常勤講師で働くのは自信がない」という3つの不安があることが、ヒアリングから見えてきたという。 公立校では、基本的に講師の募集は都道府県単位で行われ、どこの市町村に配属されるかは事前にわからない。そのうえ、欠員が出たタイミングで行政側から連絡がくるシステムなので、講師登録をしてもいつから働けるのかまったく読めないのだ。また、検討材料が提示されないという問題も大きいという。 「例えば、『数年後に常勤に戻りたいから、まずは非常勤講師として復帰したい』という子育て中の女性は多いのですが、そういう方々は自宅から通える学校なのか、拘束時間はどれくらいなのかといった条件を重視します。驚くことに、これまで自治体は、基本的にそうした待遇条件を事前に提示してこなかったのです。また、教員免許も経験もある登録者には頻繁に連絡がくるようで、断ることが精神的にきついと敬遠する人も多い。ならばほかの業界に行こうと思ってしまうのも無理はないです」