SWCC、電動航空機向け超軽量超電導ケーブルシステム開発へ
電線国内大手メーカーのSWCCは電動航空機向けの超軽量超電導ケーブルシステムの開発を進める。電動航空機は低炭素化などに資する未来の技術。同社はその技術開発に関する今期始動した国家プロジェクトに参画している。その中で超電導関連の技術を活用し発電機やモータをつなぐケーブルシステムの開発に取り組む。ケーブルシステムは超電導状態を保つ冷却機能を含めて機器への送電機能を担うもの。今後3カ年で冷却の信頼性確保や電力損失の低減などに力を入れる考えだ。 超電導体は冷却すると電気抵抗ゼロで電流を流せる物質。同社では超電導体としては高い液体窒素温度で抵抗がなくなる次世代材料の高温超電導線材や、そのケーブル化などについて技術を有している。材料に細径でも大電流を流せる超電導線材を使えばケーブルを小型・軽量化できる。 同社はこれまでにも国プロで電動航空機関連の技術開発を進めており、超電導技術の採用や構造の抜本的見直しなどで超軽量な超電導ケーブルの開発を進めてきた。これまでに電流を1キロアンペア流すのに必要なケーブルの重量を、コンパクト・軽量な現行の三相同軸型の3分の1程度に抑えることに成功している。 今期からスタートした新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「航空機向け革新的推進システム開発事業」は3カ年のプロジェクトで、出力2MW級の推進システムを開発・評価するもの。同社では今後新たな国プロへの参画で、ケーブル技術のブラッシュアップを進めるとともに、冷却も考慮したケーブルシステムとしての技術開発に力を入れる。 ケーブルの特性については交流電流を流した際に発生する電力損失の抑制や、絶縁構造の工夫による対応電圧の向上などに取り組む考え。またケーブルシステムとしては冷媒となる液体窒素の流路機構を含めた技術開発を進める方針。電力送電と冷媒管をケーブルシステムが担う上で重要な、通電特性・冷媒輸送特性の向上に注力する。実際に発電機やモータをつないで、電力供給・冷媒供給ができるかが検証される。