育児しながら介護 精神的負担大きく相談できないつらさも-ダブルケアの実態、福知山で講演会
育児と介護を両立するダブルケア。30代前半から7年間経験し、現在は支援団体を立ち上げ、代表を務める京都府舞鶴市、小野範子さん(46)=の講演会が12日、福知山市猪崎の市武道館で開かれた。ダブルケアの現状のほか、小野さんが実体験で感じた課題などを挙げて説明。聴講した当事者や福祉関係者らが、熱心に耳を傾けた。 小野さんは、ダブルケアを行う人「ダブルケアラー」について、その数は全国で約25万人、府内でも約5千人いると解説。自身も小学生、幼稚園児の姉妹を育てながら、病気で寝たきり状態だった父、認知症になった母の介護を経験した。 父は体が大きく、おむつの交換などが大変だったが、そのことよりも「母の認知症の進行による精神的な負担がつらかった」。そして、金銭面といった多くの課題があるなかで、最も小野さんを苦しめたのは、ダブルケアのことを相談できる人がいないことだった。 「当事者はとにかく悩みを聞いてほしいし、介護の情報が知りたくて、同じような人とつながりたい、という思いがある。けれど行政機関は育児と介護の窓口が違い、たらい回しにされたり、同じ話を何度もしないといけなかったりした」と話す。 これらの経験から、悩みを打ち明けられて、当事者同士がつながれる場をつくろうと、2014年に「まいづるダブルケアの会えくぼ」を立ち上げた。学習会やカフェを開くなどしており、「ダブルケアラーの心が少しでも楽になれば」と願い、活動を続けているという。 講演会は、京都生協両丹ブロックが主催。この日は、参加者同士の交流会もあり、ダブルケアの当事者もいるなかで、ざっくばらんに現状などを語り合った。