PTA「上位団体は不要」の声多数も新組織発足の訳 会費なし、PTAの運営に便利なサービスも提供
24年度は補償制度の整備を
「PTAの全国組織として、今後は、SNSによる発信などにも力を入れ私たち全Pの存在をより多くの皆さんに知っていただきたいと思っています。会員数を増やしていくことはもちろん大切なのですが、まずは私たちの思いや取り組みをご理解いただき、必要なサービスを使っていただくことで、全国のP連・各校のPTAが元気に活動するサポートをしていきたいですね」と語る長谷川氏。 2024年度は、保護者向けに「園児・児童・生徒総合補償制度」、P連・各校PTA向けに「PTA補償制度」「個人情報漏えい補償制度の整備」を開始するという。 「私たちの願いは、PTA活動が本来の機能を発揮し、子どもたちの教育環境が豊かになることです。そのために、次のステップとしては、全国のPTA、保護者や教員を対象とした意識調査を行い、現状の課題を認識して社会全体で共有し、課題解決に取り組めるよう社会や行政に対して発信していける団体として成長していきたいと思います」 近年、奈良市、松山市、高知市などのP連が、県P連など上部団体を退会して自立的な活動を行う動きが相次いでいる。2023年3月には前述した都小Pの日P退会に続き、12月に埼玉県さいたま市PTA協議会も、本年度末に日Pを退会することが理事会で決議された。 各校PTAについても、個人情報の取り扱いや任意加入制についての認識が改められる中、対応が進まないPTAも見受けられる。さらには、「本人の同意のないまま給料からPTA会費が天引きされていた」と、教員が校長とPTA会長に会費の返還を求める訴訟を起こすなど、PTAをめぐる弊害も起きている。 P連・PTAをめぐるこれらの課題を解決し、時代に合った「求められるPTA活動」に近づくため、情報の共有やIT導入支援、PTA運営支援などを行う全P。新しい視点でこれからのPTAを定義するプラットフォームとしての全Pの今後に期待したい。 (企画・文:長島ともこ、注記のない写真:Luce / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部