知事派大敗の県議選が象徴、オール沖縄「終わりの始まり」 中国の脅威、国との対立より県民生活に密着を 強まる自民党の発言力
沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で25日、中国海警局の船2隻の航行が確認された。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは187日連続となった。中国が南西諸島で威圧を強めるなか、16日に投開票された沖縄県議選(定数48)では、玉城デニー知事を支え、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する政治勢力「オール沖縄」が大敗した。石垣市の地元紙「八重山日報」編集主幹、仲新城誠氏は「オール沖縄の終わりの始まり」と指摘する。 【写真】「銃弾持って帰れ」追悼式の会場近くで大声で抗議し、警察官らに取り囲まれた女性 第11管区海上保安本部(那覇)によると、中国海警局の船は2隻とも機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。尖閣周辺での中国当局の航行は、日本政府による2012年9月の尖閣諸島国有化後、最長の連続日数を更新した。 中国の脅威は高まり、「台湾有事」の際には沖縄が最前線となる懸念もある。 こうしたなかで行われた県議選で、知事「支持派」の当選は20人、「不支持派」が27人、中立が1人で、支持勢力が過半数を大きく割り込んだ。辺野古移設「反対派」と「容認派」は24人ずつで同数となった。 玉城氏は選挙結果を踏まえ「辺野古反対の民意が弱まったということはない」と強調した。ただ、県幹部は「予想以上に厳しい結果だった。県政運営はいばらの道だろう」と語る。 仲新城氏は「辺野古移設工事の代執行訴訟で3月に県側の敗訴が確定したことが大きかった。玉城県政は辺野古移設阻止に向けて事実上、できることがなくなり、選挙の争点にならなくなった」と指摘する。 代わって大きな争点となったのは、物価高など県民の生活に密着した問題だという。 仲新城氏は「石垣島など離島でも電気料金が上がっている。国と対立するより振興策などで問題を解決してほしいという意識が有権者の間でも高まったことが今回の結果につながったのだろう。また、玉城知事が2022年の知事選で掲げた学校給食費の無償化が遅々として進んでいないことも大きな批判を呼んでいた」と解説する。 玉城氏は昨年7月に訪中し、李強首相と会談した。今年4月には「平和・地域外交推進課」を設置するなど「独自の地域外交」を展開している。