育児ノイローゼで買い物依存症になった女性「夫と一緒に“家族愛”を育みたかった」…結婚11年目で下した決断
起業人としての幸せと家庭人としての幸せ
夫がほとんど家に帰ってこなくなると、大津さんの精神はますます疲弊していった。母親の精神的な不安定さは、そばにいる息子に影響を与える。 幼稚園や小学校で友だちに手を出してしまったり、人知れずベランダに出て泣いたりするようになってしまう。 「正直、夫とは言い争うこともありました。でも相手は相手の立場で話すし、私は私の立場で話すんですよね。夫は結婚生活がなくなったとしても、仕事は手伝って欲しいと言う。 私は、もっと子どもとの時間を増やして欲しいって言いました。このままだと、子どもとどうにかなっちゃうかなっていうのもありました……」 そして大津さんは、離婚に向けて舵を切る。 「私は泥臭い言葉で言うと、夫と一緒に“家族愛”を育みたかった。でも彼は、経営者として会社を大きくすることのほうが優先順位が高かった。 話し合いを何度もしたんですが、ちょっともう難しい感じだったので、それなら、お互いに息子のことは変わらず愛していこう。 私が息子を育てていくけど、あなたも、会いたいときにいつでもどれだけでも、好きなときに会っていいから……と。それだけ言いました」 2006年1月。35歳の時に大津さんは離婚。その半年後、清掃会社を起業する。 夫の起業をサポートしたとはいえ、幼い息子を抱え、たった1人で会社経営に乗り出した大津さん。 果たして彼女は、“人生の壁”を乗り越えられたのだろうかーー。 取材・文/旦木瑞穂
旦木瑞穂