育児ノイローゼで買い物依存症になった女性「夫と一緒に“家族愛”を育みたかった」…結婚11年目で下した決断
〈“人生の壁”をのりこえた女たち〉3
結婚や出産など、女性のライフステージの変化は“自分”以外のことで、大きく変わってしまうことがある。その度に新しい“生き方”に思い悩む人も多いだろう。そんな人生の壁を乗り越えた女性たちはいったい何を考えていたのか。夫の起業をサポートする傍ら、子育てとの両立にいっぱいいっぱいになってしまった大津たまみさん(54歳)の経験談を紹介する。(前後編の前編) 【画像】仕事と家庭の両立に限界を迎えてしまった大津たまみさん
いじめられっ子から学級委員へ
愛知県在住の大津たまみさんは、車の部品を作る小さな工場を経営する父親と、そろばんの先生をしていた母親のもとに、3人姉弟の次女として生まれた。 「子どもの頃から2歳上の姉は美人で有名で、2歳下の弟はすごく頭がよかったので、私は“ちょっと残念な子”って感じでした。 身体が小さくて泣き虫だったので、小2のときに学校でいじめられていたのですが、担任の先生に、『なんでもいいから1番になるものをお前は持て。いじめる子が悪いのは当然だけど、お前も弱すぎる。もっと強くならないと、この後生きていけないよ』って言われたのが人生で最初の分岐点でした」 そのとき、たまたま姉と弟の“オマケ”としてスイミングスクールに通い始めた大津さんは、「誰よりも早く泳げるようになろう!」と一念発起。 結果、小5のときには、背泳ぎで地区大会に出場できるほどの実力をつけることができた。 「我が家は子どもの頃から、家族で車で出かけるとき、父が必ず“経営者の心得”みたいなテープをかけていて、その話の中で『人とは違う市場で戦いましょう』ということを繰り返し聞かされていました。 だから、人気があってライバルが多いクロールや平泳ぎではなく、背泳ぎを選んだのです」 水泳で活躍できるようになると、いじめも収まり、大津さん自身の自信にもつながった。 自分がいじめられていた経験から、いじめられている子をかばったり、不登校気味になった子を家まで迎えに行ったりするように。 いつしか学級委員に推薦されるようになっていた。