秘密裏に撮影、参加したイラン出身者は全員亡命 究極の決断を迫られる、イランの女子柔道選手を描く「TATAMI」2月28日に公開
「政府に服従するか、自由と尊厳のために戦うか」という究極の決断を迫られる、女子世界柔道選手権のイラン代表選手を描く「TATAMI(原題)」が、「TATAMI」の邦題で、2025年2月28日に公開されることがわかった。あわせて、ティザー予告編と場面写真もお披露目された。 【動画】「TATAMI」ティザー予告 物語の舞台は、ジョージアの首都トビリシで開催中の女子世界柔道選手権。イラン代表のレイラ・ホセイニとコーチのマルヤム・ガンバリは、順調に勝ち進んでいく。しかし、金メダルを目前に、政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避けるため、棄権を命じられる。自分自身と人質にとられた家族にも危険が及ぶなか、怪我を装ってイラン政府に従うか、それとも自由と尊厳のために戦い続けるか、人生最大の決断を迫られる。 「SKIN 短編」で第91回アカデミー短編実写映画賞を受賞し、A24配給の長編版「SKIN スキン」も手がけたイスラエル出身のガイ・ナッティブと、「聖地には蜘蛛が巣を張る」で第75回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したイラン出身のザーラ・アミールが、共同で監督を務めた。スポーツ界への政治介入、中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧を背景に、実話をベースにしたアスリートたちの不屈の戦いを、臨場感溢れる映像で描き出す。 特筆すべきは、映画史上で初めて、イスラエルとイランをルーツに持つふたりが映画で協働したという点だ。撮影は全て秘匿状態で行われ、映画に参加したイラン出身者は全員亡命。当然ながらイランでは、本作は上映不可のままだ。ナッティブとアミールは、「この芸術的で映画的な合作が、盲目的な憎しみや相互破壊の狂乱を超えて、未来をともに築こうとする、アーティストやアスリート、そして全ての人々への尊敬の印を込めた贈り物となりますように」と、声明を発表している。本作は、第80回ベネチア国際映画祭のブライアン賞を受賞し、第36回東京国際映画祭では、審査委員特別賞と最優秀女優賞(アミール)の2冠を達成した。 ティザー予告編は、イラン初の金メダルを目指して選手権に挑む、イラン代表の女子柔道チームの入場シーンで幕を開ける。試合前の殺気立ったレイラ・ホセイニ選手(アリエンヌ・マンディ)の姿を映し、第一試合が始まる緊迫の瞬間が印象的に切り取られている。和太鼓のビートが徐々に加速し、激しい試合風景、何者かに追われるコーチのマルヤム(アミール)、鏡に向かって感情を爆発させるレイラを次々と活写。ビートが最高潮に達したとき、礼をするレイラの背後に「歴史に刻まれる一本」という絶賛評が紹介され、期待が高まる。場面写真では、試合会場に向かうレイラの気合いがこもった表情が確認できる。 「TATAMI」は25年2月28日から、東京・新宿ピカデリーほか全国で順次公開。