【大学野球】ケガで今春5試合出場に終わった明大・宗山塁 ラストシーズンに懸ける決意
原点となる「人間力野球」
法大3回戦。今春のリーグ戦最終戦で取材に応じた宗山は「まだまだ自分の可能性に信じて次、試合に立つときには、最高の状態で臨めるようにしたい」と自らに言い聞かせるように語っていた。その真意は、こうである。 「まだまだ、上を目指せると思っていますし、目標をあきらめたら、成長は止まってしまう。もっともっと、上を目指す。まだまだ行けると思う。目の前のやるべきことをやるだけ」 宗山は3年秋までに東京六大学リーグ戦で通算94安打を放っていた。最終学年で歴代1位の明大・高山俊(オイシックス新潟)の持つ131安打の更新も期待されたが、今春は4安打。記録への挑戦は事実上、途絶えたが、すでに気持ちを切り替えている。 「これからの野球人生を見たときに、大学での1本も大事ですけど、出場できなかった時間で勉強できたこともある。この先、さらに打って『あの4年春が良い経験だった』と将来的に振り返ることができたらいいです」 個人的な目標は「首位打者、三冠王(打率、本塁打、打点)、ベストナイン」を掲げるが、まずは背番号10を着ける主将の役割がある。 「良いチームを作ることが仕事。明治は誰がベンチに入っても、神宮で結果を残せるだけの力がある。充実した戦力をいかに、自分を中心に結集させるかがポイント。自分が一番成長した姿を見せないといけない。まずはリーグ優勝して、明治神宮大会優勝を目指す」。グラウンドではプレー以外の立ち居振る舞い、細かい仕草も意識して行動するつもりだ。 そこで、原点となるのが、島岡御大が長年をかけて築き上げた「人間力野球」である。 「広陵高校での3年間もそうでしたけど、私生活、寮生活、学校生活というのがグラウンドに出る。明治でも4年間、その教えを受けてきた。基礎をしっかりとした上で、良い行ないが、試合に出る。ゲームで何か一つ、助けてくれる要因になる。すべてがしっかりした学生らしいプレー、姿が人間力野球になる」 御大の出生地・高森町で1週間、心身を鍛え上げる。すべては、秋への地力になるのだ。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール