【大学野球】ケガで今春5試合出場に終わった明大・宗山塁 ラストシーズンに懸ける決意
一つひとつ歩む復活への道
明大・田中武宏監督はシーズン途中離脱の理由を「右手中指第一関節の骨折」と明かした。3カード目を迎えるまでのオープン戦で、守備時にライナーを捕球しようとした際、不規則な回転となり、指を突く形で負傷したのだ。 宗山は大学2、3年時と侍ジャパン大学代表でプレー。今年から同代表を指揮する堀井哲也監督(慶大監督)は、今年1月の段階で「宗山のチームになる」と期待を寄せていたが、プラハベースボールウィーク(チェコ)とハーレムベースボールウィーク(オランダ)を選考漏れ。代表選考合宿(6月22日から3日間)の前段階で、メンバーから外れた。 「行けるならば、行きたかったですが……。なかなかゲームにも出ていませんでしたし、時期的にもタイミングが良くなかった。2年前のハーレム大会には自分と(法大の)篠木(篠木健太郎、4年・木更津総合高)が出場しており、経験値が強みだったことは確かですが……焦るところでもない。これから先を考えたときに、しっかり段階を踏んで、万全で一番良い状態に戻したほうがいいという判断となりました。田中監督も配慮してくれ、ありがたかったです。力のある選手はたくさんいる。ゲームに出場していない状況で行くよりも、自分もそちらのほうが良いと思いました」 大学日本代表はプラハベースボールウィークとハーレムベースボールウィークで優勝。14日間で11試合という過密日程の中で11戦全勝の偉業を達成した。明大からは高須大雅(3年・静岡高)、小島が出場していたこともあり、戦況をチェックしていたという。 「出場した選手が活躍していたので、悔しい気持ち、負けたくない思いもありましたが、まずは今、自分ができること、ベストコンディションに上げていくことが優先かな、と」 約2カ月はじっくりと治療に時間を割き、6月23日から約2週間の長期オフを経て、7月7日の全体集合日から、宗山は練習に合流。週末のたびに紺白戦(明大で言う紅白戦)に出場し、一つひとつ復活への道を歩んでいる。 宗山の「再始動」とともに、NPB各球団のスカウトの視察も増え、10月24日に向けたドラフト戦線は、熱気を帯びてきた。「打てる遊撃手」は、1位競合が予想されている。 田中監督は「(故障離脱した)宗山には、感情の浮き沈みがない。焦る様子も見られない」と目を細めたが、宗山も大学生。本音を語る。 「先を見据えたときの不安、試合に出場できないもどかしさ。ケガ明けに、今まで通りに動けるのか、不安はもちろんありました。ただ、そこを悲観的にとらえても何も良いことはない。『そのときにできることをやるだけだ』と割り切ったんです。この先、野球を続けていく中でも、すべてが万全ということはあり得ない。良いも悪いも経験して、いかにプラスに持っていくかを考えています」