「電話がかかってくるのが怖い」→カウンセラーの教える克服法が参考になる
「会話はキャッチボール」とよく言われるが、相手の言葉をロクに受け止めずに即打ち返す「ラリー」になってしまっていないだろうか?部下に対するアドバイスがうまく伝わるコミュニケーションのコツや、電話でのやりとりに対する恐怖心との向き合い方を産業カウンセラーがズバリ教える。※本稿は、大野萌子『電話恐怖症』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 人とのコミュニケーションは キャッチボールのようなもの 人とのコミュニケーションはキャッチボールにたとえられます。相手が受け取りやすいようにボールを投げる。相手が返してきたボールはきちんと受け止めて、また返す。このくり返しです。 「これはどうですか」とボールを投げると、「ああ、これについてですね。それはこういうことなんです」と投げ返し、それをまた「ああ、そうなんですね。ではこれはどうですか」と受け止めて投げ返す。 そのキャッチボールができることが、すべてのコミュニケーションがうまくいく基本です。 これがキャッチボールではなく、即打ち返すラリーになるとコミュニケーションはうまくいきません。 「これはこうですね」と相手が言ってきたことに対して、「それはですね」と即打ち返して、いきなり自分の話を始めてしまうのがラリーです。 相手には「話を聞いてもらえなかった」とか「そうじゃないのに」と思わせてしまうことになり、感情が宙に浮いてしまいます。 ● 会話でラリーをする前に 相手の言葉をキャッチしよう たとえば「この日お休みしたいのですが」と言ったときに、「この日、休み希望なのね」と一度言葉をキャッチしてもらえれば、「休みたい」という気持ちを受け止めてもらったと感じられます。
でも「え、なんで?」といきなり返されると、「休みたい」という気持ちが宙に浮いたまま、ボールが打ち返されてしまいます。コミュニケーションはラリーではなくキャッチボールのように、相手の感情を受け止めてから返す、ということをくり返さなければいけません。 キャッチボールがうまくいかない人は、相手が言った言葉をそのままくり返してみましょう。これは「くり返し」というカウンセリングの手法です。相手が言った単語またはフレーズの一部をくり返します。 相手が「昨日、部の会議だったんですが、意見がまったく通らなくて、落ち込んでしまいました」と言ったとします。「そんなの当たり前だよ。まだ君は新人なんだから」とすぐに打ち返してしまうのはキャッチボールではなく、ラリーです。 そうではなくて、いったん相手の言葉をくり返して「会議だったんだ」とか「落ち込んだんだね」と受け止めます。 その上で、「君はまだ新人だから、最初はなかなか意見が通らないかもしれないね」と言ってあげれば、相手は気持ちも聞いてもらえて、アドバイスも受け止めやすいでしょう。 ● ハラスメントに気をつけて! キャッチボールは平らな場所で キャッチボールは原則としては平らな場所で行うことです。 2階の人と3階の人がキャッチボールをしたら、2階の人はとてもたいへんです。3階にボールを投げ上げるには力とコントロールが必要です。3階から投げられたボールを取るのも難しいでしょう。