ローリング・ストーンズも憧れたブルースの聖地、チェス・レコード訪問記【シカゴ音楽旅行記Vol.3】
世界有数の音楽都市、シカゴの知られざる魅力に迫る観光レポート連載【シカゴ音楽旅行記】(全4記事)。第3回はチェス・レコードを取材した。電気増幅された楽器を導入し、ロックンロールの礎を築いたシカゴ・ブルースの総本山。数々の名盤を生んだスタジオはミック・ジャガーやキース・リチャーズだけでなく、あの伝説的ラッパーにとっても憧れの場所だった。 【写真ギャラリー】チェス・レコードを訪問、建物の中を覗いてみると…?
名門の歴史をスタジオ・ツアーで学ぶ
ポーランド移民のチェス兄弟によって1950年に設立されたチェス・レコード(Chess Records)は、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、チャック・ベリー、リトル・ウォルター、エタ・ジェイムス、ボ・ディドリーらの名盤を送り出し、ロックンロールやソウル・ミュージックの発展にも大きく貢献してきた。 チェスは1975年に活動停止。事務所とスタジオがあった建物は現在、同レーベルの屋台骨を担ったウィリー・ディクスンが生前に立ち上げたブルース・ヘブン財団が運営するミュージアムとなっており、予約制のスタジオ・ツアーが催行されている。筆者が訪れた日も筋金入りのブルース・ファンと思しき方々が集っていた。 まず驚かされたのは、シカゴの歴史的建造物にも指定されているオフィスやスタジオが、当時そのままの雰囲気で残されていること。かつてはオーディションに使われたという1階のロビーには、ミュージシャンたちの写真やステージ衣装、楽器やレコードなどが展示されており、漂う空気にも歴史の重みを感じずにいられない。 ツアーガイドを務める財団のエグゼクティブ・ディレクター、Janine Judgeさんの音楽愛に満ちた語り口も最高だ。ヒット曲「Lovin’ You」で知られ、ロータリー・コネクションでの活動でチェスとの縁も深いミニー・リパートンがここで受付を務めていたこと、Janineさんが受付していた頃、生前のエタ・ジェイムスに髪を撫でられ可愛がってもらったことなど、貴重なエピソードが次々と飛び出す。