【デーブ大久保コラム】平内と森下の対決が話題になりました。問題の3球は一軍レベルではないです
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 もし私が打撃コーチだったら、相手ベンチに向かって文句を言っていたと思います。7月31日の阪神対巨人、甲子園での試合のことです。いろいろと話題にもなりました、7回の平内(平内龍太)と森下(森下翔太)との対戦のことです。 【選手データ】平内龍太 プロフィール・通算成績・試合速報 7回表に巨人が1点を奪い4対8とした、その裏です。反撃のためには1点も与えたくないイニングです。それを2本のヒットを打たれて二死二、三塁を自分の投球によって招いたピンチで、森下を迎えています。前日に平内が森下から本塁打を打たれていましたので、前日の借りを返す絶好の場面でした。 それが1球目に内角高めの頭付近に153キロの真っすぐ。投げる瞬間に完全に指先からボールが抜けた感じでした。森下がにらみつけるのは当たり前です。そして2球目。捕手の岸田行倫は内角低めに構えていましたよね。それでも同じく153キロの抜けた真っすぐが、同じようなコースに行きました。 私ならこの瞬間に相手ベンチに文句を言います。当然、打者を守るためですが、一方で、こういう緊迫した場面で、2球続けて抜け球を投げてしまう投手をなぜ一軍で投げさせるのだ! という趣旨の内容を言うと思います。 1球目に内角高めに抜けたあとに、内角低めに捕手が構えた場合、一軍で投げるリリーフなら、最低でも外角低めに引っ掛けるはずです。それが2球続けて高めに抜けるのですから、一軍レベルではないと思いますね。そして次のスライダーのときには、岸田は外角に構えていたにもかかわらず、抜けてバックドアのような軌道で、真ん中に決まりました。 もうこの3球目も狙いと違うので一軍レベルの投球ではないのです。そして、この3球目で、腰を引いた森下に対して、笑ったような表情を平内が見せたと言われています。これ自体も野球選手、スポーツマンとしてはあり得ない態度です。 自分の技術のなさを棚に上げて、薄ら笑いとは……。岡田(岡田彰布)監督が「情けないな、巨人もな。何か笑てる姿見たらなあ。情けないなあ。伝統の一戦にならんよ」と新聞のコメントで語っていましたが、本当にそのとおりだと思いますね。巨人がと言うよりは、スポーツマンとしての精神が間違っていると思いますね。もっと平然とした態度を取ってほしかったと思いますし、そういう心の乱れが投球の乱れにつながっているのかもしれません。 昔は、もっと厳しいところに投げ込んで平然としていた投手はたくさんいました。西武の大先輩では東尾修さん。そういうのを技術の一つとしてわれわれにも見せてくれました。そのうえでの闘志むき出しの対決であればプロ野球の醍醐味(だいごみ)だな、と思います。しかし、今回はそのレベルではないところでやってしまったという印象です。ただ、平内にはこれを教訓に、もっといい投手になってほしいと思いますね。
週刊ベースボール