偉大な父・辰吉丈一郎の存在は重荷ではない? 無敗のボクサー・辰吉寿以輝27歳のホンネ「息子じゃなければ『ちゃうやろ』と思いますけど…」
“浪速のジョー”辰吉丈一郎(「丈」の字の正確な表記は右上に点)の次男として注目を集める辰吉寿以輝(じゅいき)(大阪帝拳)は、プレッシャーなど「どこ吹く風」とばかりにここまで16戦無敗。日本ランキングはスーパーバンタム級11位で、年内のタイトル挑戦を見据える。だれとやっても「絶対に勝てる自信がある」と常にポジティブ思考の27歳は、同時に「昭和」を感じさせるボクサーでもあった。独特なボクシング哲学に迫るインタビュー第2弾。(全2回の2回目/前編へ) 【貴重写真】世界王者の父・辰吉丈一郎に抱っこされ…リングでギャン泣きする次男・寿以輝(当時1歳)。「伝説の薬師寺戦」「ママチャリで爆走する辰吉」など貴重写真を一気に見る(全18枚)
「拳闘ですから」辰吉寿以輝のボクシング観
辰吉寿以輝は5月18日、エディオンアリーナ大阪第2競技場のメインイベント8回戦で、タイの実力者、チャイワット・ブアトクラトックと対戦する。サウスポーとの対戦はキャリア2度目。1度目は負傷ドローに終わっているだけに、プロ50戦のキャリアを誇るチャイワットに勝利して、タイトル挑戦に名乗りを上げたいところだろう。 この試合に向けて寿以輝は4月に2度、東京の帝拳ジムで合宿を行った。家族と離れてボクシングに集中する。大事な試合を控えたボクサーがこうするケースは増えているが、2世ボクサーの考えはまったく違う。早速、“辰吉節”が炸裂した。 「僕的には家族とおったほうが全然集中できる。親もそうだったんで。小さい子がいると、うるさいとか、集中できないとか、まったくないですね(寿以輝は7歳の女児、1歳の男児の父)。そもそも家族が原因で試合に負けるってダサないですか? 親父も『ありえへん』って言うてました。『子どもから風邪うつったら困るって、そんなん気合と運やん』って。『もし風邪ひいたら、ええハンデを相手にあげたと思ったらええやん』って」 寿以輝の考え方、ボクシング観はどこかオールドだ。「ボクシングは殴り合いなのに判定ってピンとこない。拳で闘う、拳闘と書くくらいですから」なんてセリフが27歳の口から出てくるとは思わなかった。
「研究するって、“ビビってる感”が尋常じゃない」
考え方だけではない。たとえば寿以輝はフィジカルトレーニングをほとんどしない。ひと昔前、筋トレを嫌うボクサーは少なからずいたものだが、最近のボクシング界でフィジカルトレーニングは常識となりつつある。 それでも寿以輝は「これが相撲ならやりますけど。必要性はそんなに感じないです。殴り合いですから。ちゃんと食って、寝て、練習すれば、ある程度大丈夫だと思います。最低限、腕立てとか懸垂くらいはやりますけど」と意に介さない。「なんか昭和っぽいですね」と問いかけると、「そうなんですよ。考え方も昭和っぽいって言われます」と笑うのだ。 対戦相手の研究を「まったくしません」というのも、ここまでくると予想できる答えだろう。その理由が「先入観を持ちたくない」であればよくある話なのだが……。 「なんか嫌じゃないですか、研究するって。臆病っていうか“ビビってる感”が尋常じゃない感じがしませんか? 自信ないんかなって。それやったらどんと来い、というほうがいいと思うんですよ。逆に(相手には)研究してくれと思いますね」
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