プロ野球の契約更改の額ってどうやって決まる?
軽減税率の空虚な議論の最中、世の中の景気はいいのか、悪いのか。プロ野球界では契約更改で大型昇給のニュースが目立つ。日ハムの“投手3冠”、大谷は1億円アップで、わずか3年で2億円を突破。新人王を獲得した横浜DeNAの“小さな大魔神”山崎は、1500万円が一気に5000万円となった。巨人、阿部慎之介の1億8400万円減や、日ハムの武田勝の8000万円減、故障で1軍登板のなかった武田久の6200万円減など大幅ダウンもあるが、どちらかと言うと今オフは景気のいい話が先行している。 そもそも契約更改の金額は、どうやって決まるのか。 各球団には、査定担当というスタッフがいて、全試合に帯同して結果、データだけでなくプレーも細かくチェック。1試合、1試合、選手にポイントをつけていく。査定担当は、数字に表れないプレーの成功や失敗までを見ている。打者で言えば、その典型例が進塁打だ。球団によっては、バントと同じ査定ポイントをつける場合もあるし、それ以上のポイントとする場合もある。ピッチャーで言えば、待機ポイント。中継ぎ、抑え投手が、ブルペンで肩を作ったウォーミングアップの回数を加算していくチームもある。その場合、試合ごとにブルペンコーチが後から査定担当に報告することになっている。 また当然マイナスポイントもある。ミスや記録に残らないエラーも細かくチェックされていく。ただ、査定のチェックポイントや、それぞれの評価度合いなどは、球団によって様々だ。各球団、統一のガイドラインのようなものもなく、チームよっては、例えミスを犯しても、監督の作戦に従った結果としてマイナスポイントとならない場合もある。 監督が、フロントサイドに直訴して、選手の査定に影響を与える例もある。例えば、「機動力野球を推進したいので、走塁に関する査定を見直してくれ」とフロントと一体化してチームの方向性を定めるケースもある。 今オフの特徴で言えば、楽天、松井裕の4000万アップや、巨人、澤村の5200万アップでの1億円プレーヤーの仲間入り、横浜DeNAの山崎の3500万円アップなど、チーム事情により先発からストッパーに転向して結果を出した3人が評価された。楽天の星野仙一副会長が、かつて監督時代に「選手は人生がかかっている。消耗、負担の激しい抑えに転向させるときは、フロントと掛け合って、それ相応の評価、保障をしてやらねばならない」と語っていたことがあるが、彼ら3人は、結果にプラスして、先発から抑えへの転向料が含まれた金額だろう。選手寿命に影響を与えるほど負担の大きいポジションがローテー投手並みに評価されているのは、いい傾向だと思う。しかも、松井と山崎の2人は、チームが最下位なのに順位の影響を受けない大型昇給となった そして、近年では、当たり前になってきた年俸決定の、もうひとつの要素がインセンティブだ。外国人選手のようにきめ細かく設定されるケースと、クリア項目を絞りこむケースがある。引退して巨人のコーチになった井端が、中日時代にインセンティブをクリアして発表されている年俸ベースより遥かにもらっていたという話もある。昨日、渋々サインをした日ハムの中田も「インセンティブで取り返す」と語っている。