内田理央・松井玲奈主演「嗤う淑女」原作で重要な一話を抜かしてる? 改変の理由とこの先の展開に期待大! 稀代の「悪女」が「淑女」とされたワケとは
推しが演じるあの役は、原作ではどんなふうに描かれてる? ドラマや映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回は稀代の悪女が周囲を操って堕としていくこのドラマだ! 【写真を見る】内田理央・松井玲奈主演 ドラマ「嗤う淑女」人物相関図を見る
■内田理央、松井玲奈・主演! 「嗤う淑女」(東海テレビ・2024)
あ、これは「笑うマトリョーシカ」方式だ、と第1回放送を見て思った。つまり原作──中山七里『嗤う淑女』(実業之日本社文庫)は時系列で物語が進むのに対して、ドラマはその途中から始まり、過去に何があったかをカットバックで少しずつ見せるという方式だ。なるほど、こう来たか。だがこの方法、原作の設定を紹介しちゃうとドラマしか見てない人に対するネタバレになってしまうので、説明が難しいのだ。まずはドラマの方から紹介しよう。 野々宮恭子(松井玲奈)が働くコンサルティング会社に、新社長として蒲生美智留(内田理央)がやってきた。美智留は恭子以外の社員を解雇し、ふたりだけで生活コンサルタントとして活動を始める。 第1話に登場したのは浪費が過ぎてカード破産寸前の銀行員、鷺沼紗代(小島藤子)。高校時代の同級生だった恭子の紹介で美智留と会った紗代は、浪費はストレスのせいで、そのストレスを与えてきたのは職場だと諭される。だったら職場──銀行に責任をとってもらうのが筋だと言われ、紗代は横領に手を染めることに……。 第2・3話のクライアントは主婦の古巻佳恵(青木さやか)。会社をリストラされた夫が作家になると言い出して2年、執筆している様子もなく、家事とパートで精神的・経済的に追い詰められた佳恵は美智留のコンサルティング会社を訪れる。美智留のアドバイスで夫の今の姿を冷静に見極めた佳恵は、夫の生命保険を増額することに……。 第4話ではネット言論界のヒーローが、第5話では推し活にのめり込む女性が、それぞれ美智留によって人生を狂わせていく(この2回は原作にないドラマオリジナル)。つまり蒲生美智留という謎めいた女性は、彼女を頼ってきたクライアントを助けているようでいて、実はより危ない方へと誘導し、破滅に追いやっているのだ。いったいなぜそんなことを? というのがドラマの骨子である。 ドラマではもうひとつ大きな謎がある。恭子と美智留は実は中学時代の同級生なのだが、恭子は17年間、美智留から「逃げていた」らしい。カットバックで差し込まれるふたりの中学生時代により、次第に何があったか視聴者に明かされる。と同時に、相次ぐ事件の背後に美智留の存在を感じた警視庁の麻生刑事(大東俊介)もふたりの過去に迫り──。