今週末に見たい展覧会ベスト12。TRIO展からYUMEJI展、六甲ミーツ・アートまで
もうすぐ閉幕 「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」(東京国立近代美術館) 東京国立近代美術館の「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」が8月25日で閉幕する。レポート記事はこちら。 セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、大阪市の中心部に位置する大阪中之島美術館は、いずれも大都市の美術館としてモダンアートのコレクションを築いてきた。本展はこの3館のコレクションから共通点のある作品を選び、トリオとして構成し、展示するものだ。会場は34組のトリオ、7つの章で構成。110名の作家、前期後期合わせて156点の作品が展覧されており、パリ市立美術館から32点が初来日している。なお、本展は9月14日~12月8日の会期で 大阪中之島美術館に巡回する。 会期:2024年5月21日~8月25日 ※会期中、一部作品は展示替えあり 会場:東京国立近代美術館 住所:東京都千代田区北の丸公園3-1 開館時間:10:00~17:00(金土~20:00)※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(ただし、7月15日、8月12日は開館、翌火曜日休館) 料金:一般 2200円 / 大学生 1200円 / 高校生 700円 「内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙」(国立西洋美術館) 東京・上野の国立西洋美術館で「内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙」が閉幕する。レポート記事はこちら。 写本とは、印刷技術が発明される以前の15世紀ヨーロッパにて、人の手で書き写された本を指す。これは中世ヨーロッパを生きる人々にとっての情報媒体であると同時に、その信仰を支えた重要なものであった。そして内藤コレクションとは、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史による写本零葉(本から切り離された1枚ずつの紙葉)を中心とするコレクション。2015年度に同館へ一括寄贈、その後も2020年にかけて新たに数十点が寄贈された。 本展は、そのコレクションを中心に、国内大学図書館からの借用を含めた約150点で構成されている。会場は用途別に全9章立てとなっており、中世において広く普及した写本の役割や装飾の特徴を紹介するものとなっている。 会期:2024年6月11日~8月25日 ※会期中一部展示替えあり 会場:国立西洋美術館 企画展示室 住所:東京都台東区上野公園7-7 開館時間:9:30~17:30(金土は~20:00) ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1700円 / 大学生 1300円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料 「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」(東京都庭園美術館) 「大正ロマン」を象徴する画家・竹久夢二(1884~1934)の生誕140年と没後90年を記念する展覧会「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」が、東京都庭園美術館で8月25日に終了する。レポート記事はこちら。 正規の美術教育を受けることなく独学で自身の画風を確立し、「夢二式」と称される叙情的な美人画によって人気を博した夢二。グラフィックデザイナーの草分けとしても活躍し、本や雑誌の装丁、衣服や雑貨などのデザインを手がけ、生活のなかの美を追い求めた。本展では、岡山(本館)と瀬戸内(別館)にある 夢二郷土美術館 のコレクションを中心に初公開資料を含む約180点の作品を紹介。最新の研究に基づく新たな視点から夢二の生涯をたどる。長年行方不明だった油彩画《アマリリス》(1919)が初めて本格的に公開・展示されている。 会期:2024年6月1日~ 8月25日 会場:東京都庭園美術館 本館+新館 住所:東京都港区白金台5-21-9 開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1400円 / 大学生(専修・各種専門学校含む)1120円 / 中・高校生 700円 / 65歳以上 700円 「超・日本刀入門 revive―鎌倉時代の名刀に学ぶ」(静嘉堂文庫美術館 [静嘉堂@丸の内]) 東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館で「超・日本刀入門 revive― 鎌倉時代の名刀に学ぶ」が8月25日まで開催中だ。レポート記事はこちら。 本展は、同館が丸の内に移転する前の世田谷区岡本で開催された「超・日本刀入門」のリバイバルとなるもの。昨今の刀剣ブームから刀剣の鑑賞機会が増えている現在において、刀剣を初めてみる人、またはあらためて学びたい人に向けた入門編の内容となっている。会場では、「日本刀の黄金時代」とも言われる鎌倉時代の名刀を中心に、国宝・重要文化財を含む23振りが4つの展示室にわたって紹介。日本刀ファン必見の展覧会だ。 会期:2024年6月22日~8月25日 会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内) 住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:00~17:00(土は~18:00、第3水は~20:00) ※入館は閉館30分前まで 休館日:月 料金:一般 1500円 / 大高生 1000円 / 障がい者手帳をお持ちの方(同伴者1名〈無料〉を含む)700円 / 中学生以下 無料 特別展「北斎 グレートウェーブ・インパクト ー神奈川沖浪裏の誕生と軌跡ー」(すみだ北斎美術館) 1000円札の新紙幣に採用されたことで一気に注目が集まった葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》。同作の誕生背景や図柄利用の軌跡をたどる展覧会「北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―」が、東京・両国のすみだ北斎美術館で閉幕する。レポート記事はこちら。 本展は3章構成で《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の誕生の背景から影響関係、その後のプロダクト利用までをたどるもの。この機にぜひ見ておきたい展覧会だ。こちらの記事( 新千円札の葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》は何がすごいのか。すみだ北斎美術館学芸員に聞く)もあわせてチェックを。 会期:2024年6月18日~8月25日 会場:すみだ北斎美術館 住所:東京都墨田区亀沢2-7-2 電話番号:03-6658-8936 開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師―摘水軒コレクションを中心に」「江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展」(千葉市美術館) 千葉市美術館で「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師 ―摘水軒コレクションを中心に」と「江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展」が8月25日まで開催中。レポート記事はこちら。 江戸時代、柏村(現在の柏市)の名主を務め、水戸街道沿いに文化サロンとなった居宅「摘水軒」を設けたことで知られる寺嶋家。同家をルーツに持つ摘水軒記念文化振興財団は、 岩佐又兵衛をはじめ肉筆浮世絵や伊藤若冲 らの花鳥・動物画を核とするコレクションを有している。このふたつの展覧会は、このコレクションを軸に構成されるものだ。「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師 ―摘水軒コレクションを中心に」は、同コレクションの中核を成す、江戸後期の画人・岡本秋暉を取り上げるもの。その生い立ちからの画業を通覧する18年ぶりの回顧展となっている。 会期:前期 2024年6月28日~7月28日 / 後期 7月30日~8月25日 会場:千葉市美術館 住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8 電話番号:043-221-2311 開館時間:10:00~18:00 休館日:7月1日、8日、29日、8月5日 料金:一般 1400円 / 大学生 800円 / 高校生以下無料 「new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった」(アーツ前橋) アーツ前橋で「new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった」が8月25日まで開催されている。 荒井良二は、1956年山形県生まれ。絵本だけでなく絵画、音楽、舞台美術などに幅広く活動しており、ライブペインティングやワークショップのほか、作詞・作曲やギターも演奏するなど音楽活動も行っている。11年に故郷の東北を襲った東日本大震災では、被災地でワークショップを精力的に行ったり、市民参加型のフェスティバル「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」を立ち上げるなど(2014~18)、近年ではより社会とつながる創作活動に取り組んでいる。本展では、荒井自身がセレクトした絵画、絵本原画、イラストのほか、愛蔵の小物たちや廃材をもちいたオブジェ群を縦横無尽に配し、美術館内にその創造の旅の軌跡が紹介されている。 会期:2024年6月29日~8月25日 会場:アーツ前橋 住所:群馬県前橋市千代田町5-1-16 電話番号:027-230-1144 開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 休館日:水 料金:一般 800円 / 学生、65歳以上 600円 / 高校生以下無料 「遠藤彰子展 巨大画の迷宮にさまよう」(新潟市美術館) 新潟市美術館で「遠藤彰子展 巨大画の迷宮にさまよう」が開催されている。 画家・遠藤彰子(1947~)は、自身を取り巻く身近な事象をテーマにしながらも、その壮大な世界観で、観る者に圧倒的な印象を残してきた。「人間の存在」および「いま生きている実感」を追求した油彩画は、縦3.3メートル × 横7.5メートルにも達する巨大画へと発展し、私たちを果てしない迷宮の世界へと引き込む。本展は約80点の作品を通して、その半世紀にわたる画業をふり返るものとなっている。 会期:2024年6月22日~8月25日 会場:新潟市美術館 住所:新潟県新潟市中央区西大畑町5191-9 電話番号:025-223-1622 開館時間09:30~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1200円 / 大学生・高校生 900円 / 中学生以下無料 「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」(大阪中之島美術館) 大阪中之島美術館で「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」が8月25日まで開催中。 京都市伏見区に位置する醍醐寺は、平安時代前期の貞観16(874)年に理源大師聖宝(りげんだいししょうぼう)によって開創されて以来、真言密教の拠点寺院として、歴代の皇族や公家、武家の信仰を集め歴史の表舞台において重要な役割を果たしてきた。醍醐山山上(上醍醐)と山裾(下醍醐)の二つの伽藍からなる醍醐寺は、山の寺としての性格を持ち、国家安泰や祈雨など種々の祈願の場として、また、江戸時代初期からは修験道の拠点寺院として発展してきた。本展は、醍醐寺に伝わる国宝14件、重要文化財47件を含む約90点の宝物を大阪で初めて大規模に紹介するものとなっている。 会期:[前期]2024年6月15日~7月21日、[後期]2024年7月24日~8月25日 会場:大阪中之島美術館 住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1 電話番号:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター) 開館時間10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1800円 / 大学・高校生 1100円 / 中学・小学生 500円 「横尾忠則 寒山百得展」(横尾忠則現代美術館) 2023年に東京国立博物館・表慶館で開催された「横尾忠則 寒山百得」の巡回展として、横尾忠則現代美術館で「横尾忠則 寒山百得展」が開催中。 本展は、2022年に同館で開催した「Forward to the Past 横尾忠則 寒山拾得への道」展に続くもの。曽我蕭白作品の新たな解釈から始まった横尾の探求は、やがて自由奔放に展開し、時には浮世絵の美人画や白ロシアの浮遊する恋人たち、はたまた一塊になって走るマラソンランナーと様々なイメージに寒山拾得の姿を投影するものに発展した。本展で展示されるものはすべて新作、同館では初公開となっている。画業40年を超えてもなおパワーアップする横尾の現在を目撃してほしい。 会期:2024年5月25日~8月25日 会場:横尾忠則現代美術館 住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30 電話番号:078-855-5607 開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 700円 / 大学生 550円 / 70歳以上 350円 / 高校生以下 無料 今週開幕 「館蔵品展 もっと魅せます!板橋の前衛絵画 シュルレアリスムとアブストラクト・アート」(板橋区立美術館) 板橋区立美術館で「館蔵品展 もっと魅せます!板橋の前衛絵画 シュルレアリスムとアブストラクト・アート」が8月22日より開催される。 シュルレアリスム(超現実)とアブストラクト(抽象)芸術は、1930年代から40年代にかけて、留学経験者や海外から持ち込まれた作品、画集や美術雑誌などを通じて日本に紹介された。これまでにない表現の作品は、日本のおもに若い画家や画学生たちを熱狂させ、1930年代後半を最盛期として、シュルレアリストのエルンストやダリ、アブストラクトの作品で知られるモンドリアンなどに影響を受けた作品が次々に発表された。なかには、シュルレアリスムとアブストラクトの両方の特徴をあわせ持つ作品までもが生まれている。 戦争により画家たちの自由な制作は一時中断されるが、戦後もまた、画家たちはシュルレアリスムやアブストラクト、そして新たに紹介されたアンフォルメルの作品などに影響を受けながら、日本の社会や画家自身の内面を反映するような作品を発表し続けた。 本展では、戦前から戦後にかけ、画家たちを魅了した日本におけるシュルレアリスムとアブストラクト・アートを、同館が所蔵する作品と資料から検証。また、特集展示としてシュルレアリスムに影響を受け、長く板橋区前野町に暮らした画家、古沢岩美の作品と新収蔵資料を紹介する。 会期:2024年8月22日~9月23日 会場:板橋区立美術館 住所:東京都板橋区赤塚5-34-27 電話番号:03-3979-3251 開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の39分前まで 休館日:月(ただし、9月16日、9月23日は開館)、9月17日 料金:無料 「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」(六甲山) 神戸・六甲山上を舞台にした現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が8月24日に開幕する。 「神戸六甲ミーツ・アート」は、2010年から「六甲ミーツ・アート芸術散歩」として毎年開催しており、これまでに延べ520組以上のアーティストが参加。15回目を迎える今回は、名称を「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」に改め内容をさらに拡充し、神戸を象徴する山として六甲山の自然とアートをより一層楽しめる芸術祭を目指す。 会場となるのは、神戸・六甲山上の9会場(ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、六甲ガーデンテラスエリア、六甲ケーブル[六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台]、トレイルエリア、風の教会エリア、六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅、兵庫県立六甲山ビジターセンター[記念碑台]、六甲山サイレンスリゾート[旧六甲山ホテル])。 「新しい視界 Find new perspectives.」をテーマに、Artist in Residence KOBE(AiRK)、青木陵子+伊藤存、青野文昭、雨宮庸介、アルネ・ヘンドリックス、開発好明、金氏徹平、川俣正、クゥワイ・サムナン、さわひらき、西野達、のん、布施琳太郎、松田修、三原聡一郎、宮永愛子、渡辺篤(アイムヒアプロジェクト)など60組が参加する。 会期:2024年8月24日~11月24日 会場:神戸・六甲山上の9会場 開場時間:10:00~17:00(会場により一部異なる) 料金:[WEB割]ナイトパス付鑑賞パスポート 大人 3900円・小人 1600円 / 鑑賞パスポート 大人 2900円・小人 1100円 / ナイトパス 大人1850円・小人 900円 [当日]ナイトパス付鑑賞パスポート 大人 4000円・小人 1700円 / 鑑賞パスポート 大人 3000円・小人 1200円 / ナイトパス 大人 1900円・小人 950円