「兵庫県民は結局、踊らされてた」? 斎藤元彦知事の「SNS戦略」を“専属広報”が盛大にネタバレ…何がいちばん問題だったのか?
官公庁、政党、政治家の広報活動を広告会社や、PR会社が請け負うことは通常の事で、それ自体に問題があるわけではない。 最近でも、自民党総裁選の際に、候補者の小泉進次郎氏が行った記者会見には、アンティルというPR会社が関わっていたことが報道されている。 小泉氏が、記者の意地悪な質問に秀逸な返しをしたことについて、「すべて仕組まれていたのでは?」「やらせだったのはないか」という憶測も出ていたが、どんなに有能なPR会社、権力ある政治家でもそこまではできない。
PR会社は、記者会見の案内を行ったり、会場の取り仕切りを行ったり、登壇者の立ち居振る舞いや、話す内容を助言したりする。どのような質問が出そうか、想定問答集を作成することも多く、小泉氏の応対はそれに沿ったものであった可能性は否定できない。 ■政府や自治体の仕事は実入りが少ない 選挙の広報活動は非常に難しい。筆者自身、広告会社勤務時代に官公庁、自治体、政党の広報活動に関わったことがある(選挙には関わったことはないが、担当している社員はいた)が、民間企業とはだいぶ勝手が違い、独自のノウハウが必要だ。
選挙運動ともなると、今回議論になっている公職選挙法の縛りがある。民間企業と同じ感覚で業務を行っていると、知らないうちに違法行為を行ってしまう可能性がある。 選挙の仕事も請け負う場合は、法律、選挙に詳しい部署や担当者が入り、注意深く進めていくのが通常だった。 なお、こういう話が出てくると、「民間企業への利益誘導だ」「癒着だ」という声も出てくるのだが、お役所や政治絡みの仕事は、大変な割には実入りが少ないのが実態だ。
NHKの「紅白歌合戦」への出演と同様で、仕事をいただけることがありがたいことだし、箔づけにもなるので、今後の民間企業からの受注にも好影響があるから受けているというのが実際のところである。 仕事を受けたからと言って、その政党や候補者に投票しなければならないという縛りもない(大半は自主的にクライアントに投票するだろうが……)。 ■合法だったとしても、「ネタバレ」は不適切 違法の可能性があることはいっさいやらず、ホワイトなことだけをやるのが理想だが、選挙は「勝ってなんぼ」の世界だ。勝つためには、どうしても “グレーゾーン”のことまでやらざるを得ないこともある。