甲子園目指す弟に“自作”を贈る兄も…野球のグローブ直す「再生工場」球児たちのために技磨く職人達の想い
「やれない修理は無い」と謳っているという、山本さんが修理に取り掛かります。 まずは、破れた革を裏側で補強。
そして表からミシンで縫い合わせます。
次に、型崩れを防ぎ、捕球をしやすくするためのグリスを内側に入れます。
最後は革紐を通して完成、作業時間は約2時間です。 山本さん: 「今まで使っていたグローブなので、みんな早く使いたいんですよ、だからこうやって柔らかくしてすぐ使えるようにという。OKですね」 そして、依頼者が受け取りに来ました。
依頼した男の子が、キャッチボールで感触を確かめます。 男の子: 「とりやすい」 男の子の父親: 「グローブって高いので、なかなか買い替えできないのと、使い慣れたやつをもう一回使いたいなっていうことで」
革ひもの交換と破れの修理で、金額は5000円です。
■弟にグローブを作ってプレゼント…グローブ職人の道に飛び込んだ若者の夢
「やまもとベース」のメンバーはみな野球経験者です。 ミシンを担当する芝山冬晟(しばやま・とうせい 22)さんは津市出身で、中学まで野球を続けていました。
芝山冬晟さん: 「(難しいところは)まっすぐ縫うことですかね。あとミシン穴、元の穴に針を通して縫っていくことですかね」 ものづくりが好きだった芝山さんは、2023年に東京で開かれた「グラブ職人スクール」に参加したことをきっかけに、本格的なグローブ職人への道を決意。
昼間は製材業をしながら「やまもとベース」のメンバーに加わりました。 芝山さん: 「お金目的でやっているんじゃないので。技術面の方は結構上がってきているので、そっちの方がありがたいですね。将来的には独立して、自分の店を建ててやっていきたいと思っています」 芝山さんは、休日もグローブ職人に教わるため奈良県まで行くほど熱心で、どうしても叶えたい夢がありました。
芝山さん: 「目標というか夢というか、弟にグローブを作りたいっていうのがあるので。8月28日が誕生日なので、その時に渡したらいいなと思っております」 芝山さんの弟は、2024年の夏の三重大会でベスト4まで進んだ三重高校の2年生で、4番を打つ芝山博翔(はくと)さんです。