《ブラジル》平安貴族も食べた「芋粥」 実は粥ではなく高級デザート サンパウロ在住 毛利律子
すなわち、古代・中世・鎌倉時代まで「甘さ」は貴重品であった。砂糖の輸入量が増大するのは室町時代末期と考えられ、甘葛煎が砂糖普及以前の甘味料であった。甘葛煎は、ツタからとった樹液(味煎)を煮詰めたもので、古代においては諸国から朝廷、天皇に進上されていた。 一方、砂糖が始めて記録に登場するのは、『唐大和上東征伝』の天平勝宝六年(754)とされているが、古代の砂糖は甘味料ではなく、薬用であったと考えられている。それは、天平勝宝六年(754)、鑑真の第一次渡航積荷に「石蜜」「蔗唐」とあり、それは薬用の類であった。 砂糖の輸入量が増大するのは、室町時代末期であり、大航海時代の幕開けによって貿易が発達し、南蛮貿易によってポルトガルなどの南蛮菓子が受容され、その結果、砂糖が甘味料として使用されるようになっていった。 【参考文献】 ◎お茶の水女子大学教育・研究成果コレクション “TeaPot”https://teapot.lib.ocha.ac.jp › record › files「芋粥の話」―有職故実から生活社会史へー古瀬奈津子) ◎青空文庫「現代日本文学大系43芥川龍之介集」筑摩書房、1968(昭和43)年8月
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