森崎ウィン「芸能人っぽくない」とよく言われるけれど…「ステージに立ったら違うぞ!」 いつかマンガの主人公のようになりたい
中学2年生でスカウトされたことをきっかけに、芸能界の道へと歩んできた森崎ウィンさん。2008年から12年間、ダンスボーカルユニットでメインボーカルとして活動後、2020年にアジアから世界に発信するエンターテイナー「MORISAKI WIN」名義のソロアーティストとしてデビュー。俳優としても2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』でハリウッドデビューを果たし、2020年には映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、多岐にわたり活躍しています。そんな森崎さんが、「MORISAKI WIN LIVE TOUR ~MODULATION~」と題したライブを、8月と9月に東京と大阪で実施。どのようなステージになるのか、ライブへの意気込みや、これまでの歩みなどをうかがいました。(構成◎かわむらあみり 撮影◎本社 奥西義和) 【写真】「もう無理だ。しんどいって思ったんですが、次に湧き上がるのは『やってやる!』という思いなんですよね」 * * * * * * * <前編よりつづく> ◆追い込まれたほうがすごい力を発揮する 芸能界に入ってから、出演する作品や周囲の人にも恵まれ、映画監督として作品に携わる機会や、音楽活動もさせていただいている――こうしてお話ししていると、順調そうだと言われるんですよね。振り返ると、そのときどきで大変なことはもちろんあるんですが、もしも失敗したとしても、良くも悪くも挫けることがないんです。 たとえば『レディ・プレイヤー1』の時は、撮影場所がイギリスだったんですが、行くと「絶対に勝てない」と衝撃を受けました。 まず、イギリスに行ったこともなければ、海外の撮影のルーティーンも何もわからない。いきなり行ってホテルに4ヵ月も滞在したまま、自分の生活をしながら、撮影もするのはけっこう大変なんです。どうやったら自分の環境を作れるのかもわかっていなかったですし、英語もすごく話せるわけでもない、誰にも頼れない。自分の思いを伝えられないのは、こんなに辛いんだ、と実感しました。 もう無理だ。しんどいって思ったんですが、次に湧き上がるのは「やってやる!」という思いなんですよね。落ち込んでも次の日には闘志が漲ってくる。 順調そうに見えているかもしれませんが、悔しい思いはいっぱいしています。ただ、悔しい思いを味わわないと人間は強くならないから。失敗しても、燃料にできるんですかね。失敗しないと甘えてしまうんですよ。だから、追い込まれた時のほうが「失敗できない!」とすごい力を発揮できますね。 でも、ずっと緊張感のある中にいると疲れるので、時間がある時はキャンプに行くこともあります。最近は、夜中にジョギングをしていて。走るとストレス発散になるんですよね。ジョギングするようになってからは、家でお酒もあまり飲まなくなりました。体力作りも兼ねて走っていますが、今日行きたくないな、と思う時もよくあるんです(苦笑)。そんなときはサッカーアニメ『ブルーロック』を観てリラックスすると、すごくモチベーションが上がるんですよ。 もともと学生時代にサッカーをやっていたので、サッカーがテーマの漫画やアニメが好きで。当時は『ホイッスル!』という漫画もよく読んでいました。完璧すぎる主人公って好きじゃないんですよ。なんでもできて恵まれている主人公には共感できないから。『ブルーロック』も『ホイッスル!』も、比較的凡人だと思われている主人公が、実はすごい才能を秘めていて、フィールドの上でだけ化け物になるんです。 僕も「芸能人っぽくないね」とよく言われるんですが、「ステージに立ったら違うぞ!」と心の中でいつも思っています(苦笑)。だから、勇気をもらえる漫画やアニメを見ると、こんなやつでもスターになれるということが夢を与える。僕もそういうふうになりたいなって。