カワサキが水素エンジンのバイクをお披露目! 市販化は2030年を目処…「Ninja H2 SX」ベースの「水素エンジンモーターサイクル」を紹介します
Ninja H2 SXをベースに開発
この水素エンジン車両はイチから製作した車両ではなく、カワサキの最高水準の技術を搭載し、高い性能と快適性を融合したスポーツツアラーである「Ninja H2 SX」がベースとなる。H2というのがいかにも、ではあるが、バイクファンならご存知の通り、このH2は、カワサキが1970年代に発売していた「マッハ750SS」(MACH IV)の型式名「H2」に由来した車名であって、この水素エンジン車の計画が最初からあったわけではない。 この水素エンジン仕様となったスーパーチャージドエンジン自体は、すでに2022年9月のスーパー耐久シリーズもてぎ戦の現場で、「モーターサイクル用水素燃料直噴エンジンを搭載した研究用オフロード四輪車」として、バギーに搭載された形でお披露目はされている。同じく水素エンジンの開発にかかわっているトヨタとの共同の記者会見なども行われたのでご存知の方も多いだろう。 水素は、空気と水素を使用して発電する燃料電池を使用し、走行する燃料電池車(FCV=Fuel Cell Vehicle)のほうが現在はポピュラーであろう。トヨタのミライやホンダの「クラリティ」などの市販車が登場し、2輪でもスズキがスクーターの「バーグマン」をベースとした実験車両で実証実験を行っている。また水素を充填するための水素ステーションも全国各地に設置が進んでいる。 今回披露されたのは燃料電池スタックを搭載した電動車両ではなく、既存のエンジンに若干手を加え、水素をガソリンと同じように燃焼させて推進力を生む水素エンジンのバイクとなる。H2に搭載されている998cc直列4気筒スーパーチャージドエンジンに、水素を筒内に直接噴射することとなるが、燃料の供給側の手直しだけで基本的にエンジン内部の変更はナシ、である。 このイベントのハイライトは、テストライダーによってこの世界初披露の車両が鈴鹿のコースを走行したことである。今回はその走行をしっかりと見せたいということで、低速走行で場内の観客にライダーが手を振りながらの走行となった。走行後は鈴鹿サーキットのグランドスタンド裏にあるイベントブースに設けられたカワサキのブースで、一般客向けに実車の展示も行われた。ちなみにこの水素エンジンモーターサイクル、カワサキとしては2030年ごろには実用化を目指すとしている。
青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
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