世界初の「3Dプリンターホテル」がテキサス州で着工 米国の最新事例に見る「3Dプリンター住宅」の今
2024年9月、世界初の3Dプリンターホテルの建築に着工
さらに2024年9月には、米国のホスピタリティ業界で多大な実績を持つLiz Lambert氏と共に、テキサス州マーファで世界初(ICON社調べ)の3Dプリントによるホテルとレジデンスの建設が進行中であると発表した。
これは同地域にあるホテル・El Cosmicoの拡張移転プロジェクトで、60エーカー(約24万2,820平方メートル)を超える敷地にホテル、浴場、レストラン、個人住宅などを建設する計画だ。同プロジェクトでは、ドーム、アーチ、ヴォールト(アーチを平行に押し出した、かまぼこのような形状)、放物線形状など、大規模3Dプリントによって可能になった先進的な建築アプローチが披露されるという。
マーファは砂漠の真ん中にある小さな街で、この自然風景にインスピレーションを受け、建築物は形状の自由を楽しむ流動的で曲線的な構造を特徴としている。砂や土の色を印刷に使用することで、円形の建築物は土地から浮かび上がって見えるように設計されている。
住宅はすでに販売開始しており、例えば、2,020平方フィート(約188平方メートル)、3ベッドルーム、2バスルーム、1フロアで家具完備の住宅は229万ドル(約3億4,100万円)となる。最初のモデルホームは今年末までに完成する予定だという。プロジェクト全体の開発は2026年に完了予定とされている。 日本においては、3Dプリンター住宅の事業化を日本で初めて実現したセレンディクス社の住宅が話題を集めており、床面積が50平方メートルの平屋建て住宅「serendix50」は、本体価格が550万円(税別)に設定されている。ICON社はマーファ内に手頃な価格の3Dプリンター住宅も建設するとしているが、具体的な価格はまだ示されていない。技術革新によって、どこまで価格を下げられるのかは気になるところだ。
サムネイル写真提供:ICON社/ 取材・文:小林香織