世界初の「3Dプリンターホテル」がテキサス州で着工 米国の最新事例に見る「3Dプリンター住宅」の今
気になるコストについては、例えば、写真にある床面積が1,030平方フィート(約96平方メートル)、間取りが2LDK(2ベッドルーム、リビング、ダイニングキッチン、バス、トイレ)の住宅で27万2,000ドル~31万5,000ドル(約4,000~約4,700万円)とされている。 同社のホームページでは「手頃な価格」といった説明があるが、現段階ではそうとも言い切れないようだ。土木工学やシステム工学にくわしく、4万6,000人が登録する建築関連のニュースレターを発信しているBrian Potter氏は、「ICON社の壁は従来のフレームで作られた平均的な壁の2~4倍高価だと推定される」と伝えている。
世界最大の3Dプリンター住宅街に、月面への建築研究も
これまでのICON社のプロジェクトを見ると、同社の3Dプリンター住宅に多方面から期待が寄せられていることが分かる。例えば、米国・テキサス州ジョージタウンのコミュニティ、ウルフ ランチでは100戸の3Dプリンター住宅が建設され、同社によれば世界最大の3Dプリンター住宅街となる。販売価格は約45万ドル~60万ドル近く(約6,700~約8,900万円)で、8月初旬時点の報道では100戸のうち4分の1強が販売済みだという。
テキサス州ウィンバリーでは、最新の3Dプリンター住宅の販売が2024年の夏から始まっている。同エリアの住宅は、部屋数が4~5(間取りは4タイプから選択可)、床面積が2,900~4,100平方フィート(約269~381平方メートル)で、価格は80万ドル後半~となる。
また、ICON社はNASAの「アルテミス計画」の一環として、宇宙ベースの建設システムの研究開発にも携わっている。大気が欠如し、放射線量が高く、気温が極端に高い月面環境において持続可能な建築物を建設するには、地球から建築資材を持ち込むのではなく、月面に存在する資材を使った「自給自足」が求められるという。同社のホームページによれば、月面のクズをエネルギーだけで超強力な建築材料に加工し、それを使って構造物を3Dプリントする方法を開発しているそうだ。