LVMH が新たに買収した「静かなラグジュアリー」ブランド、成長のチャンス:Luxury Briefing
LVMHは新規および現在の市場における成長機会を模索
LVMHにとって重要なセールスポイントは、バートン・ペレイラの日本での製造に加え、新しい市場や現在の市場における成長機会だった。バートン・ペレイラは現在、米国、カナダ、ヨーロッパで販売しているが、アジアではまだ販売していない。バートン・ペレイラにとって、テリオスのマーケティングに関するコミットメントと、ブランドの伝統を反映した「すばらしい製品」、そして米国とヨーロッパに近々バートン・ペレイラの新店舗をオープンする計画は魅力的だった。そしてもちろん、そこには安心感という要素もあった。 「私たちは小さな会社だったが、いまは大きくなっている。そして私が引退した後も、このブランドが大きな存在であり続けるだろうと思うと安心する」とバートン氏は話す。バートン氏とペレイラ氏、そしてチームメンバーの役割は買収後も変わることはない。また、今回発表された契約は11月中に締結された。 バートン・ペレイラは、ニューヨーク、アスペン、バートン氏の故郷であるカンザスシティなど米国で5店舗を展開している。だが、その売上の大半は卸売りパートナー経由である。また、バートン氏が長年培ってきた人間関係から、このブランドはローンチしてすぐにバーニーズ(Barneys)、ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)、サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)、バーグドルフ・グッドマンのバイヤーに購入されている。 「光学製品以外の商品を扱うこうした百貨店に受け入れられることは独立系ブランドでは前例がない。シャネルやディオールに対抗することになるからだ」とバートン氏。「だが、これらの小売パートナーは私たちの成功にきわめて重要だった」。 とはいえ、同ブランドの売上の大部分は、眼鏡店、検眼士、眼科医によって販売されている眼鏡フレームである。
買収後も大量生産されることのない「静かなラグジュアリー」
ロロ・ピアーナ(Loro Piana)やベルルッティ(Berluti)などのいくつかのLVMHブランドは、ここ数年で人気の「静かなラグジュアリー」に分類される。同様に、バートン・ペレイラもこのカテゴリーに当てはまる。 ブランドが意図的にトレンドを避けていることについて、バートン氏は「私たちのフレームには不必要な装飾などはない」と言及した。「製品のフィット感とバランスを重視しており、パティはその外観のためにデザインしている。私たちは彼女のデザインに対するする純粋さを愛している。自分たちの方向性があり、それに耳を傾け、信頼しなくてはならない」。この春、ブランドはリムのないフレームを発表し、その後カテゴリーを拡大した。 LVMHの優先順位は一致している。「LVMHはラグジュアリー、つまり美しいラグジュアリーブランドを持ち、その可能性を最大限に引き出すことに本当に力を入れている」とバートン氏は言う。「LVMHはバートン・ペレイラがレイバンになることは求めていない。私たちのフレームが大量生産されることは決してないだろう」。