【光る君へ】藤原実資は“媚びない男” 三条天皇からどんなに頼られても距離を置いた
三条天皇を助けた藤原実資
NHK大河ドラマ『光る君へ』の第42回「川辺の誓い」(11月3日放送)。三条天皇(木村達成)は、藤原道長(柄本佑)の次女、妍子(倉沢杏菜)を「中宮とする」と宣言したのに続いて、娍子(朝倉あき)を「皇后とする」と言い出した。これには道長は困った。 【画像で振り返る】一条天皇(塩野瑛久)と中宮・定子(高畑充希)のラブシーン
道長が三条天皇のもとに妍子を入内させたのは、むろん、自分の血を引く皇子を産ませるためである。そのうえ妍子が中宮、つまり正式な后になれば、それに越したことはなく、そうなるように画策した。 ただ、三条天皇はすでに6人の子を産ませていた娍子を寵愛していた。定子(高畑充希)を寵愛する一条天皇(塩野瑛久)に彰子(見上愛)を入内させたときと、状況が少し似ていたのである。 とはいえ、定子は道長の父で関白になった兼家(段田安則)の長女で、元来、後ろ盾もしっかりしていたが、娍子は藤原氏の主流ではなく、大納言止まりだった済時の娘。先例にしたがうなら后になれる立場にはなかった。しかし、三条天皇は、そんな娍子を皇后にしようと、道長に挑戦したのである。 道長は「それは難しゅうございます。恐れながら近年では、大納言の息女が皇后になった例はございませぬ」と反論したが、三条天皇は聞く耳をもたない。やむなく道長は、天皇の決定にはしたがいながら、娍子が立后する日に、妍子が内裏に参入する日をぶつけるという策に出た。結果、道長の権勢を理解している多くの公卿は、道長に遠慮して娍子の立后の儀への参加を見送った。 こうして娍子の立后の儀は、参加した公卿が、日記『小右記』の筆者として知られる大納言の藤原実資(秋山竜次)や、伊周(三浦翔平)の弟の隆家(竜星涼)ら4人のみで、閑古鳥が鳴くことになった。三条天皇はやってきた実資に「そなたに立后の儀の承継を務めてもらいたい」と懇願した。 実資は驚いて「えっ、私が、でございますか? 右大臣様と内大臣様は?」と尋ねるが、2人とも来ていないのだ。三条天皇は「そなたが務めねば、娍子は立后できぬ」と畳みかけるので、実資も「承知しました」と、受け入れるしかなかった。