もともと毎月開催のはずが……党首討論の狙いとは? 政策研究大学院大学教授・飯尾潤
制度が始まった小渕恵三内閣から、森喜朗内閣、小泉純一郎内閣、安倍晋三内閣までは、毎月とまではいかなくても、それなりに行われていたが、それ以降の内閣においては、滅多に開かれない状態が続いている。 党首討論がなかなか行われない理由として、予算委員会などで総理が国会出席した週は、党首討論を開かないという申し合わせの存在が指摘できる。つまり、総理をはじめとして大臣などを長時間拘束できて、数多くの議員が質問できる予算委員会などの開催を野党側が求めることも多く、特に要求がなければ政府側も党首討論の開催を歓迎しないために、党首討論の開催頻度が下がるのである。また、党首討論の回数が減ると、党首討論が特別の機会だという意識が広がり、総理にとっても野党党首にとっても、勝敗や得点が問題になる機会(新聞などで識者の採点表が出ることもある)になってしまい、双方にとって重荷になっているという側面もある。 ただ、近年、日本の国会が総理や大臣を拘束しすぎることを問題視する立場から、衆参合同で時間も限られる党首討論をうまく活用することで、総理の過剰な国会拘束を減らしていこうという提案もある。こうした議論を背景として、現実的なかたちとして、月1回は必ず開くという申し合わせを与野党7党でしたにもかかわらず、10月には開かれなかったことが注目されたのである。国会閉会中も月に1回は党首討論を開くなどといった改革によって、その活性化を図るということも考えられよう。 ------------ 飯尾 潤(いいお じゅん) 政策研究大学院大学教授、政治学。著書に『現代日本の政策体系』(ちくま新書)『日本の統治構造』(中公新書)、編著に『政権交代と政党政治』(中央公論新社)など