給与明細は「1年間」保管したら捨ててもいい?後から見返すことはある?
毎月、勤務先から渡される給与明細の内容を確認した後、捨ててもよいのか、それとも取っておくべきなのか、迷われる方も多いでしょう。「見たらすぐに捨てる」「1年間は保管しておく」「今までの給与明細をすべて取ってある」など、人によってさまざまかもしれませんが、実際はどうすべきなのか確認しておいたほうが安心です。 本記事では、給与明細の保管義務や、捨てないほうがよい理由について、詳しくご紹介します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
給与明細の保管は義務づけられているのか?
受け取った給与明細を、後から見返すことがない人であれば、給与明細を保管しておく必要性について、疑問を感じることもあるでしょう。 給与明細に関しては、所得税法第231条で「居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない」と規定されています。 しかし、これを受け取った側の取り扱いについては法律上の定めがないため、保管しておかなくても罰せられることはないと考えてよいでしょう。
給与明細を保管しておくべき理由は?
保管義務はありませんが、受け取った給与明細は取っておくべきとされています。その理由には、以下のようなものがあります。 ■収入を証明できる ローンを組む際や賃貸住宅の契約時などに、収入証明書の提出を求められることがあります。収入証明書とは、源泉徴収票や確定申告書の控えなど、自身の収入を証明する書類のことで、給与明細も含まれます。 給与明細を収入証明書として提出する場合は、連続した複数ヶ月分が必要になる場合もあるため、受け取ったら一定期間は保管しておくことが望ましいでしょう。 ■確定申告の際に必要となる 一般的に会社員は確定申告の必要はありませんが、給与以外に収入がある場合や、医療費控除を受ける際などには確定申告をしなければなりません。 確定申告の際には給与所得について記載する必要があります。その確認に給与明細が必要となるため、保管しておくと安心でしょう。 これまで申告をしていなかった場合は5年前までさかのぼって還付申告ができるので、給与明細はできれば5年間は保管しておくことが望ましいと考えられます。 ■未払い賃金を請求する際に重要な証拠となる 労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。給与の未払いが生じた場合は、会社に対して支払いを請求できますが、その際に給与明細が重要な証拠となるため、保管しておいたほうがよいでしょう。