パリ五輪スケボー金メダル、吉沢恋選手を育てた名店を訪問 相模原から世界へ続く滑走路
20平米もないスケボーショップで見る夢
同店は、2016年にオープンした。オリジナル商品ほか、同店に所属するスケーターや小山公園で滑っているスケーターに関係するブランドを取り扱う。例えば、「エイプリル スケートボード(APRIL SKATEBOARDS)」は、岸海選手をチームライダーに登録しているブランド、「ミャオ スケートボード(MEOW SKATEBOARDS)」は吉沢選手や藤沢選手をサポートしているブランドだ。湘南の「ドブディープ(DOBBDEEP)」や厚木の「フレッシュ ルーツ(FRESH ROOTS)」など、寺井さんが個人的に仲良くしているブランドの商品も置いている。「我ながら身内感あるラインアップです」と寺井さん。
店内には、吉沢選手が着用していることで話題になった「ラカイ(LAKAI)」のシューズも。「『ラカイ』のシューズ(1万450円 ※価格変動の可能性あり)は、恋ちゃんがスケボーを始めたときから履いています。柔らかいスニーカーのため、消耗も激しいですが、足でつかむ力が弱い人におすすめしています」。
さらに、カウンターの前には、年に1回、相模原のスケーターが集まる忘年会で披露されるという寺井さん自作のDVDも置いている。スケートボードシーンでは、スケーターの滑りを映像化することが盛んだ。DVD制作はかれこれ16年くらい続けているといい、過去には、堀米雄斗選手や池田大亮選手、池田大暉選手など、そうそうたる顔ぶれが出演している。寺井さんは、「子供たちは、このビデオを観て練習するんですよ。例えば、『恋ちゃんが小学5年生のころは何をやっていたんだろう?』『私も今5年生だから、このくらいはやらなきゃ』とか。恋ちゃん自身も子どものころ、セリフを覚えるくらい観ていました。流れる歌ですら覚えていましたね(笑)」と懐かしむ。
品ぞろえからは、ローカルシーンから日本のスケートボード界を盛り上げたいという気持ちが伝わる。寺井さんは、「有名なブランドの商品を売るだけでは、浅い客が増えてその店が盛り上がるだけ。スケートボードシーン全体は盛り上がらない。この先日本のスケートボードシーンを支えていく人を生み出したいという気持ちがあり、このようなラインアップになっています」と語る。